「届いた絵本」



緒言
 アンソロジー『ありがと。』に収録された作品。優しくて前向きな作品です。

ISBN 4-8401-1155-3 C-CODE 0193
出版社 メディアファクトリー 価格 \630
ページ数 20/317ページ 発行年月 2004年10月


「届いた絵本」
主要人物
村崎志織
ストーリィ(略)
 父から届いた一冊の絵本。それは志織にとって、忘れることの出来ない想い出の一冊。両親が別々に暮らす様になったあの頃。両親の気持ち、自分の気持ち。絵本にはあの時、父が持って行ってしまった栞が挟まれていました。
感想
 ストーリィは志織の語り調子で進行しますが、表現の距離が絶妙です。例えば志織が想いを寄せる男の子。露骨な描写は一切ないのですが、しっかりと且つ控えめに伝わってきます。それは両親に対する想いも同じ。表現や言い回しの集合で、それを感じさせてくれます。表現の距離は、作品中でほぼ一定。控え目の度合いが一定、と云ったら良いでしょうか。そのため、とても纏まった印象です。ところで、お母さんが鼻歌まじりだったのは、もちろん、そ〜ゆ〜気分だったってってことですよね? 最後まで読んだ時、「なるほど〜!」と口をついて出ました。これも巧い感情表現ですね。
 ストーリィとは直接関係ありませんが、光原せんせの「古今東西の絵かきさんありがとう」ってな表現が私、大好きなのです。


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