『星月夜の夢がたり』
緒言 | ||||||||||||
32編のきらきら輝いた、小さく綺麗な世界がぎっしり。星夜の章、月夜の章、夢夜の章の3章で構成されています。絵は鯰江光二。
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星夜の章 |
「春ガ キタ」
これ以上ないくらいロマンティック
「塀の向こう」
少年の冒険心理(どきどき)と、恐怖心が表現されています
「カエルに変身した体験、及びそれに基づいた対策」
100の設定で10を表現した様な、ディテールの素晴らしさ
「暗い淵」
「友人」と「友達」の表現が、この世界を過不足なく読者に伝えてくれます
「地上三メートルの虹」
少女の描写がとっても繊細です。見えない様で見える様で…
「ぬらりひょんのひみつ」
素晴らしい先生ですね!
「三枚のお札異聞」
切ないお話ですが…和尚さんは何故お札を渡したのでしょう…
「いつもの二人」
題名が「ぴったり」って感じ
「もういいかい」
誰しも(状況は違えど)同じ様な経験、ありますよね。心の奥がうずうず
「絵姿女房その後」
軽快な雰囲気。ご家来衆、もっと頑張れ!
「遙かな約束」
これも題名が良いです。そしてロマンティック!
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月夜の章 |
「海から来るモクリコクリ」
少年と女の子。あっと思わせる女の子の言葉が良いですね。
そして絵がめちゃんこ可愛い!(特に眼が) 「鏡の中の旅立ち」
スーツと「私」のこころ、両者を上手く絡めて内面を表現しています
「萩の原幻想」
彼女の名前は「あき」。そこが良いですね!
「かぐや姫の憂い」
月から見る地球って、NASAが発表するくらい綺麗なのかな?
「赤い花白い花」
赤い花と白い花。愛しさと切なさと。
「チェンジ」
不思議なピエロが教えてくれた大切なこと。作者の心が籠もっています。
「エンゲージリング」
とっても強い作品。もう進むしかないでしょう!
「無言のメッセージ」
捉え方一つで無言電話も悪くないけれど…
「お天気雨」
でっかい奴。その表現に、タカヤの心理を上手く表れています
「隠れんぼ」
さっちゃんの存在と影響。そして遊びは隠れんぼって云うのが巧い
「天馬の涙」
ここで使われた絵が一番ステキです!
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夢夜の章 |
「ある似顔絵描きのこと」
上手下手以外にも大切なことがあります
「真説耳なし芳一」
皆が互いを思ってのことだから…
「大岡裁き」
これぞ「裁き」の名に相応しい! (元は何処の国のお話でしたっけ?)
「いなくなったあたし」
自動ドアを使う辺りが良い感じ
「トライアングル」
意外な展開、意外な結末、そして納得。纏まりのある作品
「天の羽衣補遺」
世の中って、ホントむつかしい。。。
「大食いのこたつ」
関西弁を使ったことがポイントでしょう。
「目覚めの時」
もう、ただ一言。「時」ですね!
「アシスタント・サンタ」
アシスタントの存在、とても説得力があります
「遙か彼方、星の生まれるところ」
何故だか分かりませんが、一番作者の「想い」がこめられている様に感じます
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『星月夜の夢がたり』 |
短編集は収録の順番がとても大切、そしてそれがむつかしい。「春ガ キタ」は一番最初に持ってくるのに、とても適した作品でしょう。「カエルに変身した体験、及びそれに基づいた対策」は白眉! 設定が凄くしっかりしていて、登場人物の想いも綺麗に表現されています。楽しくて、切なくて、優しい、そんな作品です。「ぬらりひょんのひみつ」はどうやって収束させるのだろう、と興味津々で読み進みました。あまりに素晴らしい結末に感動。異聞的な作品も多く存在します。本来とは別の視線、たったそれだけのことで全く趣が変わります。読者は皆、「視点」を意識したのではないでしょうか。「赤い花白い花」はとても好みで、肌に合う感じがします。どこが好き、とかは説明がむつかしいのですが…。「大岡裁き」は凄い。法とはかくあるべきですね。 本作は3つの章に分けられています。「エンゲージリング」は星夜に入れて欲しかった…とか、章の振り分けには若干思うところも正直存在します。3等分するのは、さぞかし作者を悩ませたのでは、と推測されます。均等に割り振らず、敢えて偏るくらいの方が良かったかもしれません。 最後に挿絵について。作品との調和が素晴らしいです。時には空気の様に静かで、時には激しく主張して。普段は絵のない作品を読むことが多いので新鮮でした。 |
<yuri様のコメント> |
「大岡裁き」と「旧約聖書」と「三侠五義」については、専門の人にも聞いてみたのですが、はっきりこれが元ネタ、という立証は難しいとのことでした。旧約聖書が直接大岡裁きに影響を与えたとは思えないけれど、シルクロードを通じて中国経由で日本へ、ということは考えられるそうです。それぞれに状況設定が違うのが興味深いですね。私の話でも赤ん坊との最初の出会いについては違うエピソードにしてみました。 「三枚のお札」では、和尚さんはもともとお守りとしてお札を渡して やったのだったと思います。 「星夜」「月夜」「夢夜」は、32編先に配列して、そのままだとどうも区切りがない感じなので3つに分けて便宜上の章タイトルをつけたと言う、大変シンプルな構成なのでした・・・。 |
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