「天の音、地の声」



緒言
 2003年9月発行の「オール讀物」に掲載された作品。自然と憑き物が綺麗に調和した作品。

ISBN C-CODE
出版社 文藝春秋 価格 \950
ページ数 19/548ページ 発行年月 2003年9月


「天の音、地の声」
主要人物
美咲・サクヤ・了斎
ストーリィ(略)
 三つの山と海に囲まれた美しい町。小学三年生になった美咲は、持福寺の和尚了斎に劇団天音の団員サクヤの迎えを頼まれます。折しも町は宝珠山に建っている古い洋館「お化け屋敷」の噂でもちきり。地の声を聞くサクヤの来訪は、お化け屋敷の噂と無関係ではない様です。
感想
 繊細な描写がとてもしっかりとなされています。舞台となった瀬戸内の町は簡単に絵が描けちゃうくらいに頭に浮かぶんです。勿論人物描写もその内面まで含めてしっかりと、非常に丁寧に作られた作品ですね。
  さて、物語は憑き物です。憑き物に関して京極堂の右に出る者はなし、この人なしで語ることは出来ません!(断言) ではこの作品は京極作品に劣ってしまうのか…と云ったら勿論そんなことはありません。えぇ、根本的に違うのです。京極堂は(意図のあるなしは別にして)人を救うために落としますが、天音の団員は憑き物のために落とすんですね。だから雰囲気が全然違ってきます。結果、とてもとても優しい作品に仕上がったんだと思います。
  そして主人公の美咲。彼女がこの作品で占める位置はとても重要です。単なる語り手で終わらずに存在意義がとても大きい。ちゃんと役割をもって作品の中で生きているってのが秀逸です。この辺は作風と云えるかもしれませんね。
  画蛇添足とは思いつつも…書かずに入られない困った性格。で、結局、サクヤさんの性別はどっちなの?(^^;気になるぅ



<yuri様のコメント>
 天音シリーズでは、「共生」をテーマにしたいと思っています(正確には、思っていたのだと今気付いた(笑))。人も、人でないものも、できれば一緒に過ごせる世であってほしい、という。京極さんの作品は、あくまで人の心の中に生じるモノがテーマなので、ちょっと方向が違うのではないかと。サクヤの性別は、私にもまだ不明です。どっちだと思います?ってアンケートとろうかしら。

管理人のコメント
シリーズとしてどの様なまとまりを見せるのか、かな〜り期待してます。


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