「木洩れ陽色の酒」



緒言
 Webダ・ヴィンチの企画「やさしい嘘」をテーマにした人気作家による書き下ろし短編作品連載の最後を飾った作品。

ISBN C-CODE
出版社 メディアファクトリー 価格
ページ数 発表年月 2006年4月


「木洩れ陽色の酒」
主要人物
初音(ハツネ)・水際(ミギワ)・沙斗(サト)
ストーリィ(略)
 「マノミ」。あらゆる病を治すという不思議な果実。治すだけなら良いのですが、最愛の物の記憶を失ってしまうデメリットを併せ持っています。愛する妻・沙斗の病を治すため、水際はマノミの守り人・初音の元を訪れました。
感想
 とても綺麗で不思議な世界。風景描写も非常に繊細です。「マノミ」の様な果実が存在していても、比較的すんなり受け入れることができました。タイトルも秀逸です。この作品のテーマとなっている「やさしい嘘」。初音も水際も沙斗も、みんな嘘をつきます。それは、それぞれ違った種類の嘘。しかし、どれも「やさしい嘘」であることは間違いありません。発端となるのは水際の嘘ですが、嘘をつく時、彼は一体どんな心境だったのでしょうか。妻が生死の境をさまよっている時なのに、彼は嘘をつく行動を起こすのです。普通なら「病が治って欲しい」と願う以外に気が回らないのではないでしょうか。本当に「マノミ」の効果が得られるか、その効果は間違いないのか、不安でいっぱいなのでは。そんな状況下でも嘘をついた水際。だからこそ、それは今後のために必要な、最も優しい嘘だった。そう思います。


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