マインド2(読書) 「文字ばかり」
毎日の様に読む本。それは全てが文庫本。当然ですが挿絵などは殆どありません。いつの頃からでしょう、絵のない本を読む様になったのは。 文庫本は、とにかく文字ばかり。ただ只管「文字」しかないのです。ちょっと本から遠ざかってみれば、見えるのは「文字」という記号で構成された意味不明の「模様」に過ぎません。この膨大な文字を一つずつ、編み物をするかの如く読むのです。想えば途轍もなく凄い作業を毎日しているんです。しかも平気で、しかも何の気なしに、しかも好んでしているのです。 本を読みます。趣味は読書です。これを人前で云えば、可成りの確率で返ってくる言葉、「すごいねぇ」。読書好きなら誰しも云われたことがあるのでは。しかし、ふと、想います。「何がすごいの?」って。 私は好きで読んでいます。好んで読んでいるだけなのです。皆がテレビを観たり、スポーツをしたりするのと同じです。好きだから、だから読む、それだけ。それを勉強しているかの如く云われるのはとても不思議です。「すごい」と感じる人は、文字を遠くから、表面的に、模様の様にしか見ていないのでしょう。 その文字の中には、無限に広がる世界があります。その世界は作者により、作品により、読者により如何様にも変化する世界です。私が「読書」に嵌り込んだのは、その世界を観たかったから。色々な世界を観たかったから。一つでは僅かの意味しか持たない文字でも、幾つか集まれば、そこに世界が開けます。 色々な世界を観る、色々な世界に入り込む。その難しそうなことが、簡単に達成できるのです。ただ文字を読めば良い、読むだけで良いのです。世界は多くの読者を待っています。だからこそ文字だけで埋め尽くされた数百頁に渡る文字を、最後まで一つ一つ消化していくことが出来るのでしょう。そう想います。 これが私の初心。 |
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