キャッツ (2007/3/2)
演目
キャッツ (1回目)
劇団・劇場
劇団四季 , キャッツシアター 1階9列29番
同行者
高坂千春さん、むつぞーさん、みーしゃさん、菊花さん
キャスト
キャッチコピー
キャッツにはだれもかなわない!
(数多あるキャッチコピーですが、これを選ばずにはいられませんでした) グッズ等
その場でCDを1枚、プログラムを1冊購入。後日、CDを1枚、書籍を2冊購入。
オリジナル・キャスト版CDのキャストは以下の通り。
ロングラン・キャスト版CDのキャストは以下の通り。
購入した書籍は 「Old Possum's Book of Practical Cats」 T. S. Eliot Edward Gorey 「キャッツ ポッサムおじさんの猫とつき合う法」 T.S.エリオット 池田雅之 訳 この書籍はお薦めです。何でこんな音楽なのかな?、何でこういう演出なのかな?、と思っていたことが、たくさん氷解しました。CATSは想像以上に原作に忠実で、それでいて独創的なミュージカルだったのですね! 感想など
これは私の好みの作品ではないのだろう、きっと面白いのだろうけれど、私の趣味ではないのだろう。そう思っていながらも、心のどこか期待をも抱きつつ、ついにたどり着きました、キャッツ。
好みでないと思った理由は単純で、私が好きな作品は、基本的にストーリィがある程度しっかりしていて、起承転結があるものだったからです。 まず結論から述べると、よく分かりませんでした。何が分からなかったって、いろいろ分かりませんでした。でも、分からなくても良いんじゃないかなって思います。問題はきっとそういうことではないんじゃないのだから。 今回、ここは注目したいと思っていた一つがキャッツシアター、劇場そのものでした。想像通り、本当に素晴らしいところですね! まず、外観からしてステキです。雰囲気があります。中に入れば、もうそこは猫の世界。大量のゴミが興味を引きつけます。円形の劇場、右を向いても、左を向いても、当然上を観たって、客席を含めた全てが舞台です。素晴らしい! そうこうしている内に幕が…ありません。舞台が回転しました。てっきり何度か回ると思っていたのですが、最初に一回だけだったんですね。何度も回ったら気持ち悪いだろうなぁ、と思っていたのですが、そんなことはない様です。と、ネコタチが出てきました みんな、本当にネコです! 仕草とか、雰囲気とか、そういう部分的な事ではなく、まさしくネコなんです。こういうの、好きです。何せワタクシは、美女と野獣で出てきた狼の動きに感動し、あやうく涙を流すところだった感性の持ち主です。これに反応しないわけがありません。尻尾もみんな大切そうにしていて、可愛い! そして始まる歌と踊り。あぁ、美しいハーモニー…好きです。ずずいっ、と心が引き込まれたところで登場したのがジェニエニドッツ。なんとこの作品にはタップまであったのですか! タップは大好きなので、も〜、嬉しくって嬉しくって(^^) すっかり作品に入り込んだところで登場したのが、一番興味を持っていたネコ、ラム・タム・タガー。演ずるのは、これまた興味のあった阿久津陽一郎さん。意外でした。阿久津さんって、もっとパワフルな方かと思っていたのですが、味のある方ですね。タガーは予想通り、格好良くて可愛くて、満足です。 さらに期待していたネコタチが登場。二匹の泥棒ネコ・マンゴジェリーとランペルティーザです。こちらはちょっとイメージと違いました。もう少し可愛いこそ泥かと予想していたのですが、可愛さのタイプが少し違いました。なるほど、こういうキャラでしたか。 こんな風に書くと冷静だった様ですが、実際はもっと圧倒されていて、「え? えぇ?! 何?!」って感じ。ネコが大勢出てきて、あっちへ行ったりこっちへ行ったり。あ〜、も〜、どこ観たらいいのよ〜。あっちも観たいし、こっちも観たい。きゃ〜、すぐ側をネコが走り抜けて行ったよ! これまで観てきたミュージカルとは全く違った印象、そして衝撃、自分自信の感じ方だって驚きです。あぁ、自分はこんなことも面白いと思えるんだ、引きつけられるんだ、って。 そんな時に流れて来た曲が聞いたことのある曲です。あぁ、これがメモリーだったのか…。キャッツと云ったらメモリー。それくらい有名なのは知っていました。が、メモリーがどんな曲なのか、曲とタイトルは全く一致していませんでした。正直それほどの期待も…。 あ〜、聞いたことあるなぁというのが第一印象でした。と、え?! 何…何だろう…あれ、自分、泣いてる…。気付けばもうボロボロでした。私の心は一瞬のうちにその歌声に引きつけられていたんです。自分自信で泣いていることも気付かない程に。自分が泣いているという事態に驚くほどに。 早水小夜子さんの歌声が凄いのか、キャッツの演出が凄いのか、その両方なのか、さっぱり分かりません。プログラムに載っている早水さんの紹介文には、「心にしみる歌を聴かせる」と書かれているのを知っていました。これが心にしみるということなのでしょうか? 私には分かりません。私は感動したのでしょうか? でも、これまでの様な「感動」らしい感じはありませんでした。悲しかった訳でもありません。心を込めて歌っているのが心を打ったってこともありません。とてつもない声量に引きつけられた訳でもありません。ただ、涙だけが流れ続け、舞台がぼやけて見えなくなってしまいました。 そんなタイミングで客席が明るくなります。もう顔を覆って泣くしかないじゃないですか。涙なんてそう簡単にはとまりませんし、自分自身の行動に驚いてしまって、もうどうしたら良いのか分かりません。茫然自失の状態に心が帰ってきたのは、もうすぐ後半が始まるという頃、同行者のむつぞーさんが貰ってきたウィキッドのちらしを渡してくれた時でした。 少し覚醒したところで始まる後半は本当に楽しい舞台でした。アスパラガスが回想するシーン、回想から帰ってくるシーンは設定的に大好きです。そして一番のお気に入りだったのは、このネコ、スキンブルシャンクスです! 名前も存在も知らなかったこのネコ、んも〜、大好きです。 まず、音楽が素晴らしく楽しい! その楽しい音楽に乗って、ネコが本当に楽しそうに踊り、歌うっているんです。凛々しくて格好いいよ! さらにさらに、客席から手拍子がおきるんですから、も〜、たまりません。その公演が素晴らしい物となるためには、客席も一体となり楽しむことが大切だと思います。面白い時には笑い、手拍子をするところでは手拍子を、緊迫した場面では固唾をのみ、自然と沸き上がる拍手、そんな客席からの雰囲気が役者さんに跳ね返って、さらに良い舞台を作っていくんだと思うんです。こういう自然と手拍子がおきるシーンってサイコーですね! マキャビティが登場して雰囲気がガラリと変わり、ミストフェリーズが明るい舞台に引き戻して、再度のメモリー。あ、またメモリーが流れるんだ…さっきの衝撃が何だったのか見極めてやろう、と思ったのも束の間、やっぱり涙がほろほろと流れ落ちます。何で? どーして? 舞台が霞んで見えないよ。もうどーしてとか、どうでも良くなってしまいました。顔はくちゃくちゃ。目は涙でぴきぴきです。 最後はオールドデュトロノミーの歌声がとっても好みで、いつしか涙も止まっていました。歌詞には「をを?!」と思ったりもしましたが、種井さんの声、とっても好みです。落ち着く感じ。 そして最後はネコが握手に回ってきてくれるのですね! もう握手せずにはいられません。しっかり柔らかな手に触れることができました。この感触、忘れてなるものか! あぁ、も、幸せ。ところで、あのネコはどなたでしたか?(^^; 最後は幕はないけどカーテンコール(って云うのかしらん?)、ここでもやっぱりネコはネコのままなのですね! 素晴らしいです。明るくなる客席。でもやまない拍手。私も精一杯拍手しましたよ。タガーが登場してくれた時は本当に嬉しかった。そしてたくさん笑いました。周りなんて全然気にせずに大笑いしていた気がします。ごめんなさい。 そして本当のオシマイ。「あ〜、面白かった!」と口にしたのは…私です。あれ〜? やっぱり私、面白かったんだ〜。あんなに泣いたり、衝撃受けて呆然として、自分自身の感性に戸惑っていたけれど、本当に本当に面白かったんだ! だって、こんなにすんなりと、無意識に「面白かった」って心の底から口をついて出てきたことは過去にありませんでしたから。 (2007/3/11記) |