55STEPS (2009/8/23)
演目
55STEPS (7回目)
劇団・劇場
劇団四季 , 大阪四季劇場 , 1階Q列5番
同行者
姉
キャスト
キャッチコピー
創立55周年。劇団四季の新しいステップ。
グッズ等
ようこそ劇場へ! Be Our Guest! キャンペーンのオリジナルピンバッジをもらいました。
感想など
昨日と全く同じキャストの本公演、これまでにも何回か観ていたため、今回は舞台中央を観るようにしました。特定の役者さんを追ったりしないように、全体をぼんやり観るイメージです。 しかし、役者さんの吸引力はすごくて、ついつい目が引き寄せられたりすることもありました。 調子が良かったのは渡辺さんと芝さん。渡辺さんは完全に化けた気がします。声がすごく通るようになったし、発生のクセが減りました。すごく迫力も出てきて、今後期待できます。 ここからはここのシーンの私なりの解釈です。きっと正解はありませんし、未見の方は飛ばしていただいた方が良いかも。 序盤はアイーダの曲が続きますが、「勝利ほほえむ」のラダメスは、やっぱり入りがむつかしいですね。「い」という音で強烈なインパクトを伝えるのが大変なのでしょう。 シャドーランドはキックボクシングを意識したようなダンスで構成されています。次の「早く王様になりたい」へ繋がることを意識しているのでしょう。今井さんのナラはすごく強く、大きく、ぴったりだと思いました。最後はなぜ仲間はずれにされてしまうんでしょうか。 ノートルダムの「僕の願い」は李涛さんがもっともイメージ通りに歌い上げる曲だと思います。ここでは特に、スポットの当て方が印象的でした。スポットがカジモド(李涛さん)に当たり、その後でカジモドが移動しても、スポットは残ったままなんですね。そして余韻を残して消えていく。これは、カジモドの未練ではないでしょう。皆と同じように自分もいたい。でも無理なんだ。それを認識していても、納得しているつもりになっても、やっぱり…と思う心が姿を消した後も残っているスポットの様な気がします。 同じくノートルダムから、「ゴッド・ヘルプ」。智恵さんのイスメラルダが美しい音を響かせる曲ですが、その後ろでカジモドを乗せたセットが回転します。なぜ回転するのかな? と観ていると、カジモドが山を乗り越えて一歩を踏み出す様に見えるんですね。回転せず、そのまま、山の手前にいては感じられない一歩が見えたような気がします。 ドレミの歌では、智恵さんの魅力が全開。前日感想に同じですが、特に、白と赤の衣装にも惹かれました。そして、やっぱり、何度観ても何度聞いても、あの音は美しいです。 「ビー・アワー・ゲスト」はとにかく格好いい! 演出の加藤敬二さんは、こういうクールで格好いいダンスがすごく好きなんだろうなぁ、と思います。私はそれにメロメロです(^^; 最初に男性ダンサのトップが登場する姿がまず格好いいんです。歌いながらダンス、曲もアップテンポに。ここから手拍子するのが好きです。好きなんです! だから一人でも私は手拍子します(^^; その後はステッキを使ったリズムとハットの格好いいこと。ステキ。最高!ぶらぼ〜! 一幕最後は男性ダンサ一人にスポットが当たった状態でビシッ! かっこいぃ(しみじみ) 何度も観ているのに、やっぱり、格好いい。格好いいとしか云いようがないですね。 二幕は盛り上がりが多い一幕とは異なり、しっとりじっくり聞く作品が多いです。ユタの二曲は、なぜマイクを持って歌うんでしょうね。私はユタが未見なので、どの様なシーンで歌われるどの様な曲なのか分かりませんが、どちらの曲もすごく心に残るメロディと方言です。 異国の丘の二曲は「名も知らぬ人」に一言。李涛さんが九重秀隆のメロディパートを歌い、愛玲のパートを歌うために今井さんが出てきます。ここで李さんは今井さんの方を振り向くこともなく去っていきます。そうですよね。ここは視線を合わせてはいけないところ。視線を合わせることも叶わなかった二人の運命が暗示されている様でした。 李香蘭からは「二つの祖国」。真っ白な衣装をまとった早水さんが、大きな円形のシーツの上で歌います。この紫色のシーツって、きっと蘭をイメージしているんじゃないかな。真っ白な衣装は、香蘭の潔白と、純粋な二つの祖国を愛した心を表現しているのではないでしょうか。 南十字星からは「祖国」が歌われます。歌い終わった後、死が待つ階段を上っていきますが、階段は4つ。渡辺さんが上る階段以外の3つにはすでに他の人が上って(死を)待っています。この様な悲劇は、決して一人に訪れたものではなかったということなのだと思います。また、すでに同じ運命をたどらざるをえなかった人たちと同じ道を、保坂(渡辺さん)も歩んでいったんですね。 昭和三部作とロイド・ウェバーをつなぐのは「ピラトの夢」。ピラト(芝さん)が登場した時、まだ保坂は階段の上。それを見上げつつピラトが前に来ます。この二人って、裁く側と裁かれる側ですよね。そして、どちらもその立場に苦悩して、決断を下します。この対比をもって、ロイド・ウェバーに切り替えて行く様は興味深いです。また、この時、ピラトには二つの色のスポットが当たっていました。ピラトの中にある葛藤ではないでしょうか。 メモリーは非常にシンプルな演出、真っ黒な衣装を着たグリザベラ(早水さん)が歌い始めて観客を引き込みます。途中から登場する高倉さんの美しい踊りは、赤く華やかな衣装で、若き日のグリザベラの姿を思い起こさせるものだと思います。その若き日が過ぎ去り(高倉さんが客席を通って下がり=今のグリザベラから遠くなり)、グリザベラの「おね〜がい〜〜〜!」と叫びに繋がるった様に感じました。 オペラ座の怪人の「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」は、コメント不要なほど、原作に忠実な演出です。特にラウル(岩崎さん)が登場するタイミングが良いです。曲の切れ目ではなく、むしろ途中で割り込んでくるんですね。ファントムが思うままにクリスティーヌを操っているところで、お邪魔虫が登場って感じです。そして二人でいちゃいちゃ(=息がぴったりあったバレエ) ファントム目線で観たらこんな風に見えますよね。 エビータの曲が流れるところから、再び格好いい演出が目に付きます。飛躍に向かって」はチェを取り巻くダンサが格好良く、そのままのクールさを保ったまま、「ブエノスアイレス」へと続きます。その男たちを手玉にとるエビータ(智恵さん)がまた、めちゃくちゃ魅力的なんです。 スターライト・エクスプレスはよく知りません。が、芝さんにはめちゃくちゃ合っている曲です。李さん(=若者)の背中を押し、前へ前へと進めって応援しているような気がしました。 ヴァリエーションズは、もう、どうしようもなく格好いいです。それ以外に感想がありません。坂田さんが最高なんです。ここまでクールな男性を見せておいて、それを超えるクールさで女性の坂田さんが舞台を支配。たった一人なのに、舞台が小さく見えるほど大きな表現が伝わってきます。指先どころか爪の先の先までエネルギーが注がれたダンスは、本当に圧倒されます。それに続く男性ダンサたちもすごいです。惹かれます。でも、そのダンサたちの先頭に立って踊る坂田さんは、もっともっと大きく見えます。体格では決して勝てないはずなのに、全然小さく見えない。これが迫力っていうんでしょうね。意識的に一人の役者さんを追わないように、なるべく舞台中央をぼんやり観るようにしたのですが、ここだけは坂田さん一人に釘付けでした。 また、観れるかな…(2009/8/24記) |