サウンド・オブ・ミュージック (2010/5/4)
演目
サウンド・オブ・ミュージック (1回目)
劇団・劇場
劇団四季 , 四季劇場[秋] , 1階5列13番
同行者
TKさん
キャスト
キャッチコピー
あなたが観たかったのはきっと、この『サウンド・オブ・ミュージック』。
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感想など
始まると、まず心の中で「わ〜!」と叫ぶことに。美しい、これぞサウンド・オブ・ミュージックの世界と感じさせる演出です。そして歌、秋山さんの歌唱力は十分知っていましたが、それでも驚くほど美しい音がメロディを作り出します。アンサンブルの調和もとれていて、雰囲気も良く、一気に入り込むことができます。 舞台演出は非常にシンプル、かつ、繊細です。舞台の奥行きを最大限に利用していて、美しい山々の景色、荘厳なお屋敷、お屋敷から見える景色、部屋の中と、シーンが変わったことに気づかないくらい(というのはさすがに大げさですが)スムーズです。 必ずしも大がかりな舞台装置ではないかもしれませんが、最高です!! ドレミの歌、登場が早いです。限られた時間の中で表現しなければいけないため、すべてのシーンを映画のまま再現というわけにはいきません。しかし、そのカットしたシーンを実にうまくフォローしています。たとえば子供たちが家庭教師としてやって来たマリアにいたずらをするシーンは存在しません。それを、マリアが去った後、大佐と子供たちの会話から再現しています。この様な心配りが随所に見受けられ、結果として、原作の雰囲気を全く損なわず、完成度の高い舞台となっています。 映画から舞台へ、その一番の違いは、トラップ大佐とマリアの二人が、主人公として強い位置を占めていることではないでしょうか。マリアはもちろんのこと、トラップ大佐の出番は映画の韻書と比べると非常に多い気がしました。映画になかったシーンが増えているわけではありません。大佐が出てくるシーンが削られておらず、重みを持たせているせいだと思います。 子供たちのレベルが非常に高い! この作品において、彼らの存在はとても重要です。子供だから、と感じてしまうと雰囲気は一気に崩壊してしまいます。たとえ年は若くとも、見事な役者さんたちでした。特に末っ子は重要ですね。 エーデルワイス、実はもっとソロっぽい演出と思っていました。この名曲はソロでじっくり聞きたい。しかし、作品の中の一曲と考えると、あの演出で自然なのでしょうね。もう少しソロ部分が長いと嬉しかったです。 笠松マリア、実は智恵さんで観たかったので少し残念…と思っていたら、見事なマリア! クリスティーヌよりも絶対にマリア向きです。透明感のある音を出すのが彼女の魅力。この作品では音が急に跳ね上がったりすることが少なく、美しい音で自然に歌い上げることができます。大満足です。 綜馬大佐、出番が多くてとっても美味しかったです。とにかく器用です。大佐はこの作品中、もっとも色々な角度から表現されます。堅物者の大佐、子供を愛する大佐、強い大佐、などなど。どんなシーンであっても、普通に自然に大佐のままで演じています。歌も台詞も多いので、綜馬さんファンならヨダレが止まらないことでしょう。 里咲さんは、ちょっともったいない気がしました。観る方としては里咲さんも観られて嬉しいのですが、この役では無駄遣い? 雰囲気がぴったりで、嫌われてはいけない難しい役所を軽々とこなしています。でも、歌がないんですよね、歌が。里咲さんは、台詞も、歌も、ダンスも、雰囲気も、すべてがそろった役者さん。一番の魅力である雰囲気は堪能できますが…。 雰囲気と云えば、大橋シュミット、青山フランツも良かったです。お二人を観たことがある人ならば、比較的イメージしやすいキャストだと思います。 勅使瓦マックス、他作品で見ていて、あまり印象が良くありませんでした。が、この役は素晴らしい当たり役! この人って、こういう役向きだったんですね。他の人ではしばらく観たくないと思うくらいぴったりでした。 達郎ロルフ、少しインパクトに欠けた気がしました。線が細いかな? 決して悪くはありませんでしたけれど。最後の出番はずいぶんシンプルでしたが、これはこれで良いんじゃないかと思いました。その部分は十分に表現できていますので。 谷口リーズル、すっごい可愛かったです。とにかく、最初のツンとした具合が良かったです。新しい家庭教師、マリアに対して距離を置こうとしているのがよく伝わってきました。心を開いていった時に、そのギャップが魅力となって現れてきます。歌もうまくて理想的でした。(2010/4/29記) |