【案山子】作詞:梧臨海 2000/11/28 学生服を纏った少年が 今日も畦道から私を見る その瞳悲しいほど 色褪せて夢現 深まる晩秋の風は 涼やかでなく厳しい 落穂を天高く天高く 巻き上げる、吹き上げる 彼の頬は赤く染まった 早くお帰り 風邪をひいてしまうよ 早くお休み 温かくして寝るんだよ 烏が鳴くよ 今日も一日ご苦労様 少年は上着をはだけ 畦道から勢いよく飛び降りる その瞳呆れるほど 輝いて夢現 支えきれず膝をつく 硬くなった土が散る 響き渡る鈍い鈍い音 沸きあがる、嫌な予感 彼の唇が彩りを失う 早くお帰り 君は凍えてしまうよ 早くお休み 念の為 お医者様を呼んで 烏が鳴くよ ちゃんと診てもらうんだよ 彼は動かない 彼は動けない 捻ったのかい 歩けないのかい 頑張るんだ ここにいてはいけない 我慢するんだ 必死になって歩くんだ しっかりして 意識を持つんだ 彼は微笑んだ 彼はまだ夢現 そして 夢現 しかし 現夢 近付く あぁ 神様 あなたは 残酷だ 私に 二人も 看取れというのか あぁ 悲しい 私は 案山子 私は なにも 出来ない案山子