草木染めというと、あい染めなど、和のイメージを持つ人も多いかもしれないが、今回ご紹介する二人の作家、瀬古真由美さんと平子千代さんは、草木染めでフレンチキルトの作品を作るファブリック・アーティストたちだ。 主婦業のかたわら、自ら収集した草花や木の枝で、自然の風合いを大切にしたさまざまな作品を発表している。 |
「草木染めは、だれでも手軽にできるんですね。要は、草を取ってきて、グツグツ煮込んで、布を染めればいいんだから、工程としてはとってもシンプルなんです」 とはいっても、どんな草花がどんな色に染まるのか、どれくらい煮込むのか、媒染には何を使うのかなど、始めたころは要領がつかめず、失敗の連続だったという。 「失敗を繰り返すことでカンが養われるんですね。また同じ草木で染めても、毎回微妙な違いが出てきます。それがまた楽しくて、今でも染め上がる瞬間はワクワクします」と、草木染めの奥の深さに二人とも魅せられっぱなしだ。 |
「昔から草花は大好きでしたが、今は見方が違うんですよね。道端の草を見ても『この花は、何色に染まるかな』なんて、そんなことばかり考えて歩いていますね(笑)」と瀬古さんが言えば、平子さんも「大高緑地で伐採された木の枝をいただいたりしますが、ガサゴソと枝を選んでいる姿は、人から見たらきっとあやしいですよねぇ」と笑う。 |
季節ごとに使う草木も違うが、フェンネル、桜の実、ヤマブキ、ノコンギク、キンンシバイなどで、つい最近染めたという布地を見せてもらった。薄い黄色や緑、クリーム色、うっすらと紫がかった色など、どの布も淡く、ロマンチックでやさしい雰囲気がいっぱいだ。
草木から命をいただいているという実感を大切に作品づくりを進める瀬古さんと平子さんは、自然への感謝の気持ちも作品に込めていきたいと考えている。 |
やさしい色合いと風合いのクッションやタペストリー、コースターやのれんなど、たまった作品を発表するために、これからは年に一度のペースで展示・販売会も行っていく予定だ。
現在も自宅教室や出張教室を行っているが、今後はさらに活動を活発にして、積極的に草木染めキルトを広めていきたいそうだ。 「草木染めを始めてから知ったことですが、植物の持っている力は計り知れません。その力をもらいながら、美しい作品を作っていくことの気持ちよさを多くの方に知っていただけたらと思っています。自然をいつくしむ気持ちを大切にしながら、仲間を増やしていきたいですね」 |
この二人プラス植物パワーが作り出す草木染めキルトには、心地よさとやさしさがいっぱい詰まっている気がした」 |