夷陵の戦い


蜀軍は先ず、巫を攻撃、呉の李異を撃破され、陸議は夷陵まで後退した。
蜀の水軍は夷陵の対岸まで船をすすめ、両岸を挟んで呉と対峙。
そして、劉備自ら出陣を開始。

劉備のもとに二人の白装束の青年が現れた。

張苞 陛下!どうか我らに父の仇を取らせてください。 関興

劉備 オオ。そなた達は弟達の息子だな。立派になった。
そなた達も義兄弟の契りを交わしたと聞いたぞ。

張苞 はっ!!! 関興

劉備 どうだ。朕の息子も混ぜてくれぬか。

張苞 ・・・・・。は。はっ!!!
もったいなきお言葉。(詰まってしまった)
関興

自らは馮習を都督、張南を先鋒として5万の兵を率いて侵攻した。
険阻な道を通り、夷陵に至り、かの城を包囲した。
魏は呉を助ける(名目上はそうであるが、呉への侵攻もうかがっている)ため進軍していたが、
劉備は黄権に兵を与え別働隊として魏に備えさせた。


一方、呉の孫権は陸議(後に陸遜と改名)を大都督に任命し全権を委託した。
陸議は夷陵城に集まった部将達に告げた。

陸議 夷陵は攻めやすく、守りにくい城である。
だが、この城を奪われれば
荊州全体が危険にさらされてしまうことになる。
なんとしても守り通さねばならぬ!!
劉備軍は城内の呉軍を挑発した。

関興 出て来い!!潘璋!私と一騎打ちだ。
父の仇を討ってやる!

潘璋 むむむ・・・。青二才め。

陸議 罠が仕掛けてあるはずだ。行ってはならぬ。
劉備は巧妙に仕掛けを用意していた。 だが、兆発に乗らないと
劉備 兆発に乗ってこぬな。臆病者どもめ。

馬良 むやみに城を攻めるのは得策ではありません。

馬良に荊州の異民族沙魔科を説得させた。

馬良 大王、我が主、劉備の義弟関羽が
呉の裏切りにより倒れたのはご存知のとおり。
その仇討ちに、主自ら出陣しております。
どうかご助力いただけますよう。

沙摩可 わかった。
ともに劉備様の雪辱を果たそう。
だが報酬を忘れてはならぬぞ!
劉備 vs 陸議


これが長期に及ぶと古参の武将は陸議の指揮に不満を抱いた。

徐盛 劉備を攻撃するのであれば、
侵攻してきた当初に行うべきでした。
現在では奥深く進入させて対峙して
ゆずらぬ状況が7,8ヵ月にも及んで、
敵の防御が固まってしまったため
これに攻撃をかけて獲るところはは有りません。

陸議 劉備は狡猾なやつでさまざまな場面を経験しておるゆえ、
その軍が攻め込んできた当初は
事細かに謀をめぐらせるであろうから
それを攻めるのはよろしくない。
現在では久しくとどまったまま、蜀の兵士達は疲労して
この局面を打開する策も生み出せぬままである。
この賊どもを手取りにするのはまさしく今だ。

こう言って、まず1つの陣地に攻撃したが、得るところが無かった。

韓当 無益に兵士達を殺しただけのことだ。

陸議 これで劉備を打ち破るすべが分かった!

そこで命令を出し兵士達に茅を一束ずつ持たせると、
火攻めにして陣地を陥落させた。
これを弾みとして全軍に指令を出し同時に総攻撃をかけさせた。

呉軍は、四十余の陣営を打ち破った。

沙摩可 ぐわ。あっちいい。助けてくれー。
ああ参戦するのではなかった。
富貴が得られると思ったのに。

蜀軍の都督である張南、馮習、異民族の、沙魔科らは呉軍に討ち取られた。

陸議 我が事成り!我が事成れり!!
あとは劉備を捕らえるのみ!!

劉備は馬鞍山に登ると、周囲に兵士を配置した。
陸議が諸軍を叱咤激励して四方からこれに肉薄して攻撃を加えさせると、
蜀の陣営はバラバラに崩れ死者の数は数万に上った。

馬良 私はいい。陛下をお守りするのだ。

馬良は自分の周りの兵を劉備にまわし、命を落とした。

夷陵城で防衛にあたってた孫桓も
本軍の勝利を聞くと城を打って出ると、蜀軍を撃退した。
劉備は呉で以前、幼い頃の孫桓に襲われたことを思い出した。

孫桓

劉備 あの孫桓が、私を追い詰めることになるとは・・・・。

劉備は更に夜陰に紛れて逃亡した。


潘璋 劉備は必ずここ漁歩哺を通るに違いない。
劉備を捕え、馬忠の功績を越えるのだ!!

潘璋。
彼こそ臨祖において関羽を捕えた人物である。
その部下、馬忠は関羽を捕縛した功績で莫大な報酬を受けた。
潘璋の軍隊は1000足らずであったが
あたかも1万の軍勢のような働きをするという。
この戦でも都督の馮習を斬る功をたてている。

潘璋 来た!!わしの勘は的中した。

劉備 なんと、ここまで呉軍が迫っていたとは。

劉備は完全に包囲されていた。

劉備 もはやこれまでか・・・。

関興 陛下たとえ刺し違えてでもそれがしが潘璋

そのとき、何処からともなく、ときの声があがると、
劉備を囲んでいた呉軍はにわかに騒がしくなった。

関興 陛下。あれは蜀軍・・・。
趙雲殿です!!!

趙雲は劉備軍壊滅の知らせを聞き、
大急ぎで救援に赴き、劉備を確認した。
趙雲は潘璋の包囲を打ち崩した。

趙雲 陛下!ご無事で!?
今のうちにさあ。お逃げください!!
関興は陛下をお守りしろ!!

関興 だが・・・。仇。

趙雲 早くお連れしろ!!いまお前に潘璋を討つ力は無い!

潘璋 おのれ!逃してたまるか。

趙雲 潘璋よ!私が相手になってやる!

潘璋 くぬぅ!


潘璋と趙雲が戦っている内に。
劉備は白帝城にたどり着くことが出来た。
劉備はひどく恥じ入り

劉備 このわたしが陸議などに辱められてしまったのも
天の定めた運命ではないか。


別働隊の黄権は退路をふさがれ魏に降伏した。

呉の徐盛は白帝城近くに迫ると、陸議に進言した。

徐盛 今まで命令に反し続けて申し訳ない。
劉備は白帝に居り 間違いなく手取りにすることができるので、
再度攻撃をかけさせてください。

紅陵太守朱然は反対意見を述べた。

朱然 曹丕は軍勢を動員し
表面上は我が国を助けて劉備を討伐するのだと称しながら、
内心は我が国を攻めようと企んでいる。

陸議は朱然の意見に同意して兵を引き上げた。
はたして呉は3方から魏の攻撃を受けた。

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