後期
-あとがき-


三国は統一された。

諸葛亮と司馬懿の対決は後世に残る名勝負であったといえよう。

諸葛亮は、弱小国である蜀を良くまとめ、
外は大敵呉と手を結び、強国である魏を攻めた。
魏を打ち破れなかったもののその意志は
公正明大な人柄と相伴って、多くの人々に感動を与えた。

司馬懿は合理的な思考を持ち
状況判断、時代を読み取る力は、抜きん出ていた。
ついに魏を乗っ取ることに成功するのであった。

呉では陸遜が抜きん出ていた。
謙虚な人柄であり、徳治を以って勢力を拡大するという
遠大な思想を持ち、国のことを第一に思っていた。

この三人の英傑の存在がそのまま三国の均衡となっているのであった。

また陸遜、諸葛亮とも軍事を研究し熟達していたが、
両者の特徴を端的にあげるとすれば次のようである。

陸遜は必ず勝てる戦いを心がけた。
そのため出撃の数が少なかった。
諸葛亮は絶対負けない戦いを心がけた。
そのため勝利が少なかった。

呉を滅ぼした晋であったが、
その後数十年を待たずして匈奴の侵略を受け、
北方を占拠された。
そして晋はかつて呉の都だった建業に逃れた。

天下は長江を境に二分され、その均衡が数百年と続くのである。
これはまぎれもなく、諸葛亮、周瑜、魯粛が描いた構想の
形を変えたものである。彼らの戦略は正しかったのだ。

この三国志は晋の歴史官、陳寿によって記された。
事実に基づく簡潔な記述は公正さを持ちこれをベースに
さまざまなドラマが後世に伝承されていった。

そして時代を越えて多くの人々が語り継がれ愛された。

終り