2004・10・29 みんないっしょに



先月
NHKの教育番組で
4年生のダウン症の男の子が
普通学級ですごしている
様子が放映された。

NHKの番組サイトはコチラ↓
http://www.nhk.or.jp/ikiteiru/ja/frame.html

その録画ビデオを
ひなのの担任の先生に
良かったら・・・と
紹介したら
「クラスのみんなで見ます」
と言って下さって

今日
そのビデオを見る授業を
「お母さんもどうぞ」
と、参観させていただいた。

この番組は
何年か前に出版された
写真絵本
「となりのしげちゃん」の
(本の紹介サイトはコチラ↓)
http://www.mochiaji.jp/5story/shige_chan/01.html
ダウン症のしげちゃんの
その後。

4年3組の友だちに
助けられながら
元気に過ごしている映像だった。

・・・・・・・・・・・・・・

「ひなののクラスのみんなは
どんな表情で
この番組を見るのだろう?」

「しげちゃんが
ひなのと似ていると、気がつくのだろうか?」

・・・・・・・・・・・・・・・

15分足らずの番組。
クラスのみんなは、静かに見ていた。

すぐに
「ひなちゃんみたい・・・」
という声も聞こえた。

後半で
しげちゃんが
友だちのマネをして
公園のでこぼこ坂道を
自転車でおりる!
という場面があった。
しかも補助輪付き自転車で。
私も
「ひえ〜〜〜っ!大丈夫か?」
と思った場面である。

子どもたちの中から
「がんばれ!」という声が出た。

しげちゃんが
勢いよく走りおりる・・・。
転ぶことなく、成功!!!

しげちゃんの満面の笑み。
それと同時に
クラスの中に拍手がおこった。

ああ。
この子たちは
たかがテレビの
しかもまったく知らない子である
しげちゃんに対して
「がんばれ!」と声援をおくり
「やった!」と
拍手して喜んであげられる子たちなんだ。

ステキねえええ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

番組を見終わって
先生が
番組中の「しげちゃん」と「4年3組の友だち」という
カードを黒板に貼って
番組について質問。

続いて
「しげちゃん」のカードを「ひなちゃん」に。
「4年3組」のカードを「みんな」(2年1組)に

「ひなちゃんがみんなにしてくれるいいこと
ひなちゃんのいいところって、何かな?」
と、先生。

あきらめないこと。
覚えようとがんばること。
(ひなのは、やりたいことを
自分のできる範囲でやっているので
ちょっと過大評価かも。。。 f(^_^)
泣いているといい子いい子してくれる。
折り紙をプレゼントしてくれる。
落ちた物を拾ってくれる。
休んでいて登校すると抱きしめてくれる。(キスされた子も!)
誉めてくれる。

などなど、たくさんの子が
発言してくれた。

その次
「じゃ、みんながひなちゃんにしてあげてることって何かな?」
と、先生。

手をつないでつれていってあげた。
連絡帳を書いてあげた。
本を読んであげた。
ドッジボールのボールを取ってあげた。
ドッヂボールを弱くあてた。(笑)
靴を履くのを手伝ってあげた。
一緒にジャングルジムをやった。
(はじめは1段しかできなかったのに、
最近は3段できるよね〜との声)

「○○さんが・・・」と
自分のことでなく、友だちのしたことを
発表したので
自分のことを言われて
「えっ?ボク、そんなことやってあげたっけ?」
と、驚く様子も。(笑)

「ひなちゃんががんばっていると
拍手をしてあげる人は?」
全員がハーイ!

クラスのみんなが
自然に関わってくれているのがわかる。

ひなちゃんがダウン症だからとか
障害があるからとかではなく
「ひなちゃんのできにくいところは助けよう」
「でも、僕たちもひなちゃんに助けられている」

それが
「あたりまえ」の姿として
クラスの中にある。

子どもたちは
理屈ではなくて
それを自然に身につけるんだな。

先生が最後に
ひなちゃんとみんな
だけじゃなくて
○○くんとみんなでも
助けられたり助けてもらったり
おんなじだよね」

こまったときは、たすけっこ
わからないときは おしえっこ
みんな いっしょに よくなろう
(2年1組 クラス目標)

・・・・・・・・・・・・・・

授業後の先生 談

「大人が身構える必要もなかった」というのが、
1番の感想です。
子ども達はすごいものです
ひなちゃんをあれほど良く見ていること、
また、自分たちがしていることには意識しない
(やってあげている意識がない)
子ども達バンザイ!ですね。



2004・10・27 ゆっくりと・・・



ひなののクラスで
みんなが作っている「川柳」

4月からこれまでに
クラスのみんなが作った川柳の数
なんと
合計 19723句!!!

一番たくさん書いた子で
1910句なんですって。
よくもそんなに題材があるもんだ。

先生は
決して「数を競わせているつもりはない」と
おっしゃいます。

確かに
「数を励みにしている」子もたくさんいるのでしょうが
イヤイヤやっているのなら
こんなには書けないでしょう。

子どもの川柳は
上手・下手ではなく
自分の日常のつぶやきをそのまま
5・7・5にしているだけですから
ほとんど「日記」のようでも
あるのかもしれません。

書いている子どもにとっても
その時その時感じたことを
書きとめた川柳は
後になって見返したら
すごい貴重な財産よね!!!

「川柳」には
自分のことだけでなく友だちのことや
家族のこと。身の回りの自然のことなど
いろいろなものが
出てくるようです。

ひなののことを
書いてくれる子もいます。

仲良しのKanaちゃんが
最近書いてくれた川柳です。

うれしくて
涙が出ました。

・・・・・・・・・・・

ゆっくりと 大きくなあれ ひなのちゃん

・・・・・・・・・・・


2004・10・25 九九の暗唱



学校から
帰宅したら
ランドセルから
紙切れが一枚。

ひらひら〜〜っと落ちた。

子どもの字で

「5のだん」
5×1=5
5×2=10
5×3=15




と続く。

「2のだん」
2×1=2
2×2=4




つまり
「九九の表だった」

それぞれの式の上に
「ごいちがご」
というルビまでふってある。

今学校で
2の段と5の段の暗唱をやっている。

紙の隅に
「kanaちゃんがひなちゃんのために作ってくれました」
と先生のコメント。

「放課にKanaちゃんが
ひなちゃんに九九を教えていましたよ」
というお話も聞いた。

先生よりも
母親よりも
なんて頼もしい
なんてステキな
・せんせい・



2004・10・24 ぜったいに!!!



ひなのは
シャワーを頭からかけるのが
キライで
美容院みたいに
仰向いて
顔にかからないように洗っている。

めんどくさいし
ついつい
顔にお湯が
流れてしまうこともしばしば。

「もう。上から
ジャーッってしてもいいじゃん」
「いやっ!!!」

お風呂で
「ジャー」という言葉には
ひどく敏感なひなのである。

「だってさー。
ひなちゃん、もう大きいんだし。
ジャーってしようよ〜」

と話していたら

真顔で
「ぜ・・・ぜ・・・ぜ・・・
ぜったいに
いやだ!」

「ぜったいに〜〜〜???」
「うん。ぜったいに!」

そんな言葉を
使うようになったか。。。
(しみじみ・・・)

その後
もうひとこと
ずーーーーっと
いやだ!」



2004・10・23 漫才ブームで



ひなのの言葉は
まだまだ「明瞭」とは
程遠いものだけど
日々、いろんな「言葉」を吸収している。

「お母さんのこと、すき?」
と尋ねると
「うん!」
と言った後

「べつに〜。ぜんぜ〜ん!」

・・・・・・・・
って・・・あの・・・
それ、ぜんぶ「否定」を表すんですけど。。。

最近の「漫才ブーム」で
テレビの若手漫才の番組を見て
ゲラゲラ笑う。

意味、わかってんのか?

「○×△▲☆☆・・・・・いうじゃな〜〜〜い
・・・・・・・・じゃんねんっ!!!」
とか。

「でんしぇちゅのおここ〜〜〜!」
(♪伝説の男〜〜〜♪)
とか。

「○◎▲▽××■☆★★☆◎〜〜〜〜めっ!」
(○○してるんじゃあねーぞ。このやろうめ)
とか。

真似して言っている。

全く
子どもってのは
悪い言葉ばっか
覚えるんだから。



2004・10・21 マネしちゃいけません



足にできたカサブタを
触っていて
ベリッ!
むいてしまった。
私が。

「あ〜あ〜。血が出ちゃったよ〜」
とティッシュで押さえていたら
ひなのが
すかさずバンドエイドを持ってきた。

それで
言った言葉。

「マ・・・マ・・・・マネ・・・しちゃ
いけません!!!」

マネって。
別にあんたの
「カサブタ取り」のマネをした
わけじゃあないのよ。



2004・10・19 どうだった?



健太が学校から
帰ってきた。

ひなのが出迎えて
「おかえり〜〜〜。
ど〜だった〜?」

健太「ふつう」

なんじゃ?その返事は。

それにしても
ひなのの
「どうだった〜?」という言葉は
自分では気がつかなかったけど
きっと私がいつも言っているのね。

ひなのが帰ってくると
「学校、どうだった〜?」
と聞いているんだわ。

ひなのは
お父さんにも
「どうだった〜?」

ちょっと庭に出て
玄関から入ってきた私にも
「どうだった〜?」



2004・10・18 だまって



学校から
帰宅したひなのが

「きょう、くもん、ある?」
と聞いてきた。
「あるよ。まだもう少し時間あるけど」

そう言って
私は台所に座り込んで
料理の本を見ていた。
(リビングからは死角)

健太はリビングのテーブルで
やり損ねた公文の宿題を
慌ててやっていた。

やけに静かだなあ。。。
ひなのの歌声もうなり声も
聞こえないなあ。。。
と思いつつ
何分かして
リビングをふと見ると

ひなのがいない。
どうりで静かなハズ。

そういえば
さっき
めずらしく自分で
公文の宿題をカバンに押し込んでいるのを見た。

「ひなは?」
と健太に聞いた。

「もう出かけた」
「はあ?
なんで教えてくれないのよ。いつ行ったの?」
「だいぶ前」

急いで
外に出てみると

はるか向こうの道路を曲がって
勢い勇んで
タッタカタッタカ歩いている
ひなの。
すぐに見えなくなった。

おっと。
宿題は入れるのを見たけど
筆箱は持ったのか?筆箱は!

学校のと共用しているので
ランドセルから出して入れなおさないと
いけないのに!

ランドセルを見た。
筆箱はなかった。

偉い!!!

まあ。べつに。
ひとりで行くのは初めてじゃあないし
大丈夫だとは思うけどねえ。

黙って
行くなよな〜〜〜。



2004・10・15 社会見学



秋の社会見学。

「へー。2年生は
地下鉄に乗って、水族館へ行くんだ〜。
いいね〜」
って、のん気に思っていたが

学校から
公共交通機関を使って
遠出をするのは
「初めて」じゃあないか???

実家の母に話したら
「えっ?電車に乗っていくの???
あーこわ。
あんた、のん気だねえ」

まあ。
「外面のいい」ひなののことだから・・・

しっかり先生やお友達に
ついていくことでしょうよ。
たぶん。

幼稚園では
遠足も、お泊り保育も
私が一緒に行ったことは一度もないんだから
大丈夫だよね。
たぶん。

でも
前日になったら
ちょっと心配になってきた。

明日のスケジュール。
電車に乗るんだよ。
乗ったら座るか、どっかにつかまっていないと
転んじゃうよ。

歩くときは
先生やお友達と手をつないでね。

ひとりでどこかへ行くと
「まいご」になって
大変!

しらないおじさん
(最近は優しそうなおばさん・・・てのもあるけど)
にはついていかないで。

トイレは「早く!」ね。

絵で描いて
説明。

ひなのは
ゲラゲラ笑って聞いていた。
(絵がおかしかったらしい)

そして当日。

空は晴天。
リュックにお弁当。
張り切って
出かけていった。

先生には内緒で
駅に向かう途中。
盗み見していました。私。

みんなに遅れつつ
でも
駆け足で追いつきつつ
駅に向かう道
15分くらい?
ちゃんと列に入って
歩いていた。

近くに
低学年補助のM先生。
ホッ。

午後3時半。
帰宅したひなのは
水族館のパンフレットを広げて
「イルカ!みた!」
「ニモ!(カクレクマノミ)いた!」
「おともだち!て、つないだ!」

とまくしたて
牛乳2杯。ポカリスエット2杯を一気飲み。

とにかく無事で。
楽しそうで
良かったねー。



2004・10・14 ありがたいねえ



Ayakaちゃんは
4年生で
ひなのと同じ通学団の女の子。

しょっちゅう
家へ来てくれるので
「ウチの子だったか?」と
思うほど
ウチに馴染んでいる。(笑)

今日も
学校の帰りに摘んだという
花を手にやってきて

「ポッケのお墓に・・・」
と言う。

「ありがとね〜。なんて優しいんだろうねえ」
と私。
「そりゃ、ありがたいねえ。
ポッケも喜ぶだろうよ」
って、
じいさんみたいだよ。健太。

平均的な
うさぎの寿命の半分しか
生きられなかったポッケ。

飼い主として
もっと気をつけてあげてれば
もっと長生きできたかもしれない
と悔やんでいる。

でも
こうして
「お花を供えてもらったり」
ここのHPでも
「お悔やみの言葉をいただいたり」

本当にありがたいこと。



2004・10・12 ポッケがぬれちゃう!



夕方
夕飯の用意をしていたら

「あめ、ふってきた!」
とひなのが言った。

窓にはカーテンがしてあったので
ポツポツ落ちる雨の音で
気がついたみたい。
地獄耳〜〜〜。

「あー。ホントだー。雨、降ってきたね〜」
ひなのと
庭を見てみたら

ひなのが叫んだ。
「あっ!ポッケがあああ・・・ぬれちゃう!!」

庭に作った
ポッケのお墓。

ずっと前、信楽で
「ポッケに似ている」と言って
健太が買った
陶器のうさぎが置いてある。

ひなのは
「ポッケが骨になった」
ことは
よくわからなかったみたいだが
一緒に
お墓に「お骨」を埋めて
この陶器のうさぎを
置いたら
「そこにポッケがいる」
と納得したようだった。


学校へ行くとき
陶器のうさぎに
「いってきま〜す」を言う。

お供えの干草を
陶器のうさぎの口へ持っていく。

その
陶器のうさぎが
雨で濡れていた。。。

「ああ。ああ。ポッケが・・・」

急いで
陶器の上に
カサを置いてあげた。

「あ〜。良かったねえ」
と、ひなの。

ひなのの中では
帰らないポッケは
陶器のうさぎに
変わったんだね。

大きなピンクのカサさして
ポッケは庭から
私たちを見ています。



2004・10・10 ここにいるよー!



台風一過。


洗濯物を干そうと
庭に出たら

おお〜〜〜
金木犀の香りが。。。

うちの前に
金木犀の木があったのよね。

昨日まで
気がつかなかったのになー。

今日は
「ここにいるよーー!」と
金木犀が呼んでいるみたい。



2004・10・5 お気に入りのおもちゃ



ひなののお気に入りの
おもちゃ。

100円のソフビ人形付きの
ラムネ菓子を
買って集めた
人形たち。

ひなのがディズニー好きなので
ディズニーシリーズを
集めだしたのがきっかけで
ポケモンやハム太郎なんかもある。

すごくたくさんあった中で
ひなのが
厳選した人形44体。

これを
机いっぱいに並べて遊ぶ。
なにやらブツブツ言いながら。
その「言葉」のほとんどは
聞き取れない。

でも
「い〜れ〜て」とか
「○○しようよ〜」とか
たぶん学校での
友だちとの会話のよう。

人形たちは
1列に並んだり
丸くなったり
時には4列縦隊に整列したりする。

これを始めると
30分ぐらいひとりで遊ぶし
他人の介入は
断固拒否する。

幼稚園の頃から
変わらず
ずっとやってるこのあそび。

これって・・・
「箱庭療法」の一種かなあ。

ひなのは
この人形たちで
学校での出来事を
再現してみたり
自分が言えなかった事や
やりたかったこと
もう一度やってみたいことなどを
やってみているような気がする。

自分で
人形をあれこれ
動かしながら
心のバランスを
とっているみたい。

ひなのの
一番大切なおもちゃだわ。



2004・10・4 説明すること



「説明するのって
難しいんだよなあ・・・」

健太がいきなり。

クラスで
順番にまわってくるスピーチで
「頑張っていること」を
話したそうで

「自分が何をどう頑張っているか」
をみんなに伝えること
に「難しさ」を感じた。
らしい。

もともと
言葉が遅い子だった。
学校での出来事を
健太の口からほとんど
聞いた事がない。
叱ると黙り込む。
「説明」を求めると
要点がつかめない。

それを
自覚するようになったのね。

そもそも
「人にわかってもらえるように話をする」
ってことは
大人だって難しい。

でも
それを「難しいなあ」
と気づくことから
全てはじまると思う。

がんばれ。
健太。

「人にキモチを伝える」
ことって
大事だもの。



2004・10・2 運動会のこと


その1・整列

開会式
私とお父さんを見て
笑顔で手を振った。
「きをつけ!」
号令がかかると
口を真一文字にして
直立!!!

・・・・・・・・・・・・・・・

その2・先生ノーマーク

クラス席で応援している時
ひなのは一番はしっこの席だった。
担任の先生は
右後方に座っていた。

補助の先生もおらず。

ひなのノーマーク。
でも
まわりのお友だちが
ちゃんと
「ひなちゃん。行くよ」
「ひなちゃん。こっち」
と、気にかけてくれている。

・・・・・・・・・・・・・・・

その3・大玉転がし

2人で大玉を転がして走る。

2週間ほど前に
「大人だと、ひなちゃんのペースに合わせて
大玉を転がせるんですけどねえ。
ペアになるTさんも
玉を転がすのに必死で。
ひなちゃんが、なかなか
玉にさわれない。
でも
Tさんは
ふたりでがんばると言ってます」
と、先生が
おっしゃっていた。

「ひなは、大玉に触れるんだろうかねえ?」

ところがどっこい
ひなのとTさん
ふたりで上手に
大玉を転がして走ってくる!

Tさんが
両手で大玉を転がして前進し
ひなのは横から
片手で
チョ〜ンチョ〜ンと
玉に触りながら
走っていた。

ふたりの息もピッタリ!
とても
「速い」とは
言えなかったけど・・・。(笑)

・・・・・・・・・・・・・・・

その4・かけっこ

幼稚園の頃から
数えれば
4回目の「かけっこ」

去年までは
補助の先生が帆走してくれていた。

今年は
「位置について!」
で、サッと自分の定位置に立ち
援助に出ようと身構えていた
補助の先生を
チラッと横目で見て
「わたし。できたでしょ!」
とでも言いたげに。

よーぃドン!
走る・走る・走る

他のみんなゴールイン。

ひなの
余裕の笑顔で
走る・走る・走る

両手を広げて。
走る・走る・走る

ご〜〜〜〜〜る!!!

はじめて
ひとりで走った「かけっこ」

「ひなちゃん。何番だった?」
「いちばん!」
う〜ん・・・。
確かにあんたの前には
誰もいなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・

その5・レインコート

はじめから
雨が降ったりやんだりの
天気だった。

途中から
レインコートを着せた。

雨がひどくなってきて
ひなのは
レインコートの帽子をかぶろうとした。

でも
赤白帽がじゃまで
レインコートの帽子があがらない。

しばらく
ジタバタしていたので
かぶせてやろうと
ひなののところへ行こうと思ったとき

お友だちが
サッとやってきて
ひなののレインコートの帽子を
かぶせてくれた。

いつでも
どこでも
ちゃんと助けてくれる人が
いるんだね。

・・・・・・・・・・・・・・・

その6・イスの片付け

運動会終了後
クラス席で座っていた
自分のイスを
教室まで運ぶ。

去年は
担任の先生が
持ってくださって
ひなのは
イスの脚を握っていただけ。

今年は
自分でよいしょっと持った。

担任の先生を見つけて
「あ〜」とかなんとか
甘えたが
「ひなちゃん。持てるでしょ。
先生は先生の荷物があるから」
と先生。

しぶしぶ
自分で持ち直す。

そ〜そ〜。
自分でやれることは
自分でやりましょ〜。

・・・・・・・・・・・・・・・

健太の運動会

見に来てほしくないわけでは
ないだろうけど・・・

親が来てるとわかると
こっ恥ずかしいお年頃。
目が合うと
はにかんで
目をそらす。

「けんた〜〜〜!」と
声をかけると
呼ぶなよ。
とでも言いたげな顔で
知らん顔。

そ〜ゆ〜
態度をされると
ますます
声をかけたくなるのよ〜。

大きく手を振ったら
無視された。



2004・10・1 ポッケはどこに行ったのでしょう



うさぎのポッケが死にました。
 わたしには「死ぬ」ということがわかりません。

 お母さんとお兄ちゃんが
 泣きました。
 それがとてもイヤでした。

 お母さんとお兄ちゃんと
 「動物霊園」というところへ行きました。

 ポッケは箱の中で寝ていました。
 「ポッケー」と呼んでも、寝ていました。
 そっとなでても、寝ていました。

・・・・・・・・・・・・・・・

 「動物霊園」から帰るとき
 もうポッケはいませんでした。

 「ポッケ、お泊り?」
 お母さんに聞きました。

 お母さんは
 「ポッケは『ほね』になって
 この中にいるのよ」
 と言いました。

 小さな小さな白いつぼでした。
 中には
 小さな小さな白いものがたくさん入っていました。

 ポッケ?
 ポッケはどこに行ったのでしょう?

・・・・・・・・・・・・・・・

 朝になっても
 ポッケはいませんでした。

 「ポッケは?」
 お母さんに聞きました。

 お母さんは、昨日の白いつぼを指して
 「ポッケは、この中で眠っているのよ」
 と言いました。

 白いつぼに入っているのは
 『ほね』というものです。

 お母さんはおかしなことを言います。

 わたしはポッケのことを、よく知っています。

 茶色い毛をしていて
 胸と手と足は、真っ白で
 長い耳を持っていて
 いつでも鼻をピクピクさせていて
 長くて 細いひげが、ぴーん!^
 ピーンピーンとはえています。
 目は ビー玉みたいに
 まあるくて大きくて
光をあてると、赤く見えます。

ふわふわしていて
いつも
とても
あったかいのです。

だけど
この白い「ほね」というものは
どこも
ポッケらしくありません。

ポッケはどこに行ったのでしょう?

・・・・・・・・・・・・・・・

次の朝
まだ ポッケはいませんでした。

「ポッケは?」

お母さんに聞きました。

「ポッケはここにいるよ」

お母さんが指差すのは
やっぱり
白い「ほね」でした。

ポッケはどこに行ったのでしょう?

・・・・・・・・・・・・・・・

次の次の朝
やっぱりポッケはいませんでした。

ポッケはどこに行ったのでしょう?

・・・・・・・・・・・・・・・

次の次の次の朝も
ポッケはいませんでした。

ポッケは・・・
ポッケは・・・
たぶん・・・あしたもいないでしょう。
あしたのあしたの そのまた次のあしたになっても
ずっといないでしょう。

ポッケはもう、帰ってこないみたいです。
ポッケは
わたしのことが、キライになったのかしら。

・・・・・・・・・・・・・・・

お母さんが言いました。

「ポッケは『ほね』になったけど・・・」

「あなたが『ポッケ』と思い出すとき
ポッケはいつも
『ここ』にいるのよ」

『ここ』
お母さんは、お母さんの胸に
両手をそっとあてました。

『ここ』
わたしもわたしの胸に
両手をそっとあてました。

『ここ』は
学校で「心」という漢字を習ったときに
お母さんが教えてくれた『ばしょ』でした。

『ここ』 はこころです。


「ポッケ」

と、わたしが思うとき
「ポッケは いつも 『ここ』 にいる」

・・・・・・・・・・・・・・・

ポッケはわたしのところに帰ってきました。
そして
ずっとずっと
『ここ』にいてくれると思います。

ずっと 『ここ』に。