介護保険を取り巻く状況(法改正含む)
(1) 高齢者数 16年4月1日現在(名古屋市)

65歳高齢者
384857人
一人暮らし高齢者
37106人 
介護保険認定者 
58428人
要介護3以上
21297人


(2)日本人の平均寿命
昭和22年
50.06
53.96
平成2年
75.92
81.90
平成12年
77.72
84.60
平成16年
78.64
85.59
1999年の日本人の健康寿命は男71.9歳、女77.2歳で世界一の健康長寿の国となっています




(3) 名古屋市内特養数・定員
    
施設数
定員
待機者
16.5.1現在 
49
4387人
16253人
17.5.1現在 
54
4815人
18927人
     増
 428人増
 2674人増 
17.8.1現在 
54
4815人
18640人 

初めて待機者総数が減少した。グループホーム・有料老人ホーム・宅老所が特養の待機者を吸収。 
待機者約5〜6千人で増加傾向にある。
待機者の1/3がおおよその実数



(4) 愛知県内(名古屋市のぞく)特養数・定員
施設数
定員
16.7.1現在
106
 9106人
17.7.1現在
114
 9939人
増加
 8
 833人
 
国庫補助なしの特養建設が始まっている。
特養入所者の利用契約は家族主体が8割以上で本人の意思確認は2割弱
特養利用者の施設と直接契約は7割(他は措置時代)
成年後見人を選任し契約は0.7%
低所得で身寄りなしも多く医療行為に対する同意・死後の財産管理など制度的な限界がある。


(5) 老健 (開設者=地方公共団体・医療法人・社会福祉法人で営利を目的にしない者)
  ・特養化している。(特養待機待ち)
  薬など安いものを使う。
  ・空室があるが入所させない老健がある。(入所者を選ぶ・職員の退職により体制が整わない等)
  ・17.10.1現在(4月以降4箇所増 396人増) 
  ・全室個室化の老健開設が始まっている。(補助金「1500万円余」なしの建設傾向がある) 
 
(6) 介護療養型医療施設

開設者=医療法上の療養病床等をもつ病院・診療所で介護保険適用部分に入院するの療養病床のほか、精神病床のある病院等で認知症の状態に
ある者を適切な看護がおこなわれる老人性痴呆疾患療養病棟を有する病院・診療所



名古屋市内
施設
定員
44
1395人
16.10.1現在
43
1426人
17.10.1現在

(7) 有料老人ホーム

名古屋市内 名古屋市を含む愛知県
施設
定員
施設
定員
16.7.1現在
27
1478人
49
2728人
17.7.1現在
52
2795人
99
5009人
増加
25
1317人
50
2281人
17.8.30
現在入所者
727人
26%

※ 空きが多い   (特定施設1168人の内ケアハウス定員 441人)


(8)養護老人ホーム 
   特養化している。
   
   名古屋市内  6施設 定員770名  要介護1以上は約100名 (認知症70名余)


(9) ケアハウス・軽費老人ホーム(特養化している)
名古屋市内
愛知県(名古屋市除く)
施設
定員
施設 
定員
軽費老人ホーム
4
490人
 3
200人
ケアハウス
17
441人
 68 
2589人
 満床で待機待ち状態。あまり施設は増えない(特養に一部併設されている)。


(10) グループホーム
グループホームのショートスティが厚生労働省で検討されている。(平成18年4月より)
   ※ 9名定員で1名分(空き部屋利用)


グループホーム(17.10.1現在)
名古屋市
110ヶ所
愛知県(名古屋市除く)
175ヶ所
   計
285ヶ所


(11) 宅老所の状況
  ・実数はつかめていない

 ※ 名古屋市内 6箇所  愛知県内 19箇所(名古屋市含む)
 
 ※ 宅老所から特定施設(低額な有料老人ホーム)への動きある。


(12) デイサービス
17年10月法改正により食費の利用者負担化によりサービス面で差別化が始まっている。
  (料金にばらつきがある為)
空きが多い(利用者より職員が多いところもある)
デイサービスを基本とした小規模多機能サービス施設の経営困難か ?


(13) 介護職員基礎研修カリキュラムの創設 

厚生労働省は2006年度より:現行ヘルパー研修見直し「介護職員基礎研修」500時間 
在宅ヘルパー・無資格施設共通。
2級ヘルパー現任者は追加受講措置。将来的に介護福祉士を義務つける移行措置。
 ※ (現在は2級ヘルパー135時間)

  ※ 人材確保が困難になる。


(14)グループホームの需要 (法改正とグループホーム)

 (1) グループホームをとりまく状況

@ 特養の絶対数の不足・利用者負担増によりグループホームとの料金格差が縮まった。
A 平成17年度は認知症の理解が深まりつつあることとキャンペーンの展開
B 地域(近隣住民)の交流がされてきつつある。
C 有料老人ホームとして低額施設(託老所系)が開設され始めた。
   ※ 認知症でない方の入所
D フランチャイズ化の流れがある。
E グループホームの絶対数が不足(特養との関係含む)
   ・認知症高齢者の増加
   ・特養ユニットケアとグループホームの優劣が競われる。
    ※ 特別な医療の対応は特養が有利
F 平成15年の基準改正で計画作成担当者について1名以上は介護支援専門員をもって
   充てる。経過措置で実務経験を有するものが担うことができるとされていたが18年3月
    31日で経過措置は切れる。


  (2) 18年4月よりの法改正によるグループホームの方向性
@ 「認知症に伴って著しい精神状態や行動障害が現れている」高齢者も対象となる。
A ターミナルケアへの対応
B 入院による環境の変化に伴い病状が悪化しやすいため早期にグループホームへ戻す。
C 看取りについては事業所は4割 、施設長の3分の2が前向きな意見をもっている。
   実際ターミナルケアに取り組んだ事業所は約14%に止まっている。(厚生労働省のアンケートによる)
D グループホームの多機能化等の検討 (新たに検討されている事項 厚生労働省)
  ・グループホームが蓄積してきた認知症高齢者ケアに対する技術や知識を、在宅の認知症高齢者や
  その家族に対しても活用していく観点から居住機能以外の機能を展開していくことが考えられている。
E 平成17年5月から構造改革特区ではグループホームのショートステイ利用が開始されている。
F グループホームにてデイサービスやショートステイの提供
G 事業所数の急増で事業所間でのサービスの質に格差が生じていることから、質の向上に取り組む
  必要性が言われている。

  (3) 痴呆介護の理論・技術の向上のための研究会必要性

@ ハットしたこと、ひやりとしたことの論議を通じて事故を防止し介護力向上を目指す
A 他のグループホームの対応から良い所を学ぶ
B 特別な医療にたいする体制・対応
C 複数夜勤体制の確立


  (4) 家族などの不安(グループホームへの入所を躊躇する理由)

@苦情を言うとすぐ退所を迫られる
A 介護度が要介護3ぐらいになると退所させられる
B 色々な名目で倍ぐらいの料金がかかる(区への苦情と安いグループホームの紹介)
C 入院するとすぐ退所を迫られる
D 問題行動の強い入所者は拘束されたり、強い薬を飲まされ寝たきりにさせられる

 (5) 最近のグループホームの傾向

一時金なし
生活保護対応(家賃相当35800円)
要介護1〜5まで対応
終身対応
機械浴設置
特別な医療の対応(病院系列)の増加




 (6)グループホームに望まれること
入所依頼に対する満床の場合に他のホームの紹介
入所者がグループホームでの対応困難になった場合の特養申込みの指導
病院・他の介護保険施設との蜜な連携の必要性
食事の楽しみ(プロの味) → 家族にも食べさせてやりたいと思うような
窒息防止(食事)・転倒の防止策の研究
地域とのつながり  地域の民生委員・婦人会・諸団体・ボランティアの受け入れ
入所者と家族とのつながり
家族と施設とのつながり(家族会)
入退院の対応
  ※ 入院した場合の対応(1ヶ月で退所)

 (7) ターミナルケアについて
   ※ 家族の寝泊り付き添い

 (8) 身寄りのない方の死亡した場合の対応

 (9)グループホームの対応力の向上について
終の棲家としての対応力の向上(安心してグループホームを選択できる)
価格競争時代に突入している
住民・ケアマネの意識 一時金あると儲け主義=悪い介護と判断する。
建設費用を抑え家賃を35800円以下とする。
儲け主義の建築業者を選ばない。
認知症にたいする大規模な特養ユニット型とグループホームの比較研究
   ※ 大規模=夜間の看護師体制、緊急時の対応、複数職員体制
   ※ 火災、地震などの災害時の対応
管理者のリーダーシップと現場へのブレイクダウンの方法について組織論的な研究
管理運営に対するオーナーの理解(管理者の退職につながる)
  ※ 管理者・施設長・介護職員の異動が多いのは体制が出来ていない証拠
認知症介護のプロフェッショナルとしての研鑚・地域リーダー・研究者・実践者としてとしての活躍が
  望まれる。
認知症介護の実践者としてる奮闘記等書籍を発表
職員研修の徹底(理念の共有化と介護技術向上)、職員の質が問われる
人員配置と職員のローテーション研究(夜勤の複数化)
職員の待遇改善(やりがいのある環境、給与)
介護職員などの流動化(施設増との関係)



 (10)社会資源の活用 (制度横断的な支援の展開が望まれる)

  行政(介護福祉・保護・保健所)・社会福祉協議会・在宅介護支援センター・民生委員・
  区政協力委員・町内会・老人クラブ・ケアマネ・介護相談員・地域権利擁護・成年後見制度
  ・虐待防止センター・病院・NPO・ボランティア・福祉系学校・福祉系大学研究者・地域支援センター等




 (11)宅老所の発展系の特定施設(グループホーム並の低額な有料老人ホーム)の増加が望まれる。


 (12) 生活保護(17年4月現在)

生活扶助第1類  32340円 70歳以上
生活扶助第2類  43430円 冬季加算11月〜3月 3090円
住宅扶助     35800円以内 (特別基準・所長承認 46600円以内)
老齢加算      3760円   70歳以上
 合計     115330円
一時金=敷金など基準 特別基準×5倍(名古屋市内)
    46600円×5倍=233000円
 おむつ代 23000円以内
 その他 介護保険料、介護利用1割負担、医療費、葬祭

 (13) 地域密着型サービスへの期待
1
小規模(29人以下)介護老人福祉施設
2
小規模(29人以下)介護専用型の特定施設
3
痴呆性高齢者グループホーム
4
痴呆性高齢者デイサービス
5
小規模多機能型居宅介護(新規)
6
地域夜間訪問介護(新規)

 (14) 介護保険関係施設の今後の予想
24時間対応の往診専門医が増加。
大規模複合施設の増加(大企業の余力資金)
介護療養(医療法人)、老健(医療法人・社会福祉法人)、有料老人ホームの増加
  ※利益率が高い
中規模多機能施設の増加(既存の法人による新たな展開)
小規模多機能施設の増加(資金力のない善意の人の参入)
大規模家屋・中規模店舗の空家の利用(地域密着型サービス)
低価格有料老人ホーム(価格競争時代に入っている)の増加と差別化が始まっている。
医療法人による特別養護老人ホーム参入(厚生労働省で規制緩和が検討されている)。
  ※現在は社会福祉法人のみ
医療法人系列のグループホームへの参入。
介護報酬で介護施設コントロール(近い将来に介護財政圧迫)