将棋で国際交流

 上海では日本将棋が熱い! その中心人物は許建東さんで出身中学校を皮切りに小中学校で課外活動の将棋クラブを次々と開設。ちょうどこの頃、私は日本の将棋を世界に広めるためにはどうしたらよいか? と日夜眠られぬ日が続いていました。そして中国に渡り上海新亜長城大酒店の一室で許さんと日本将棋・チェス・中国象棋の3つを中心に比較検討。今後世界的には日本将棋はどうなっていくのか? 盤駒の大きさ・敵味方の識別・駒の形状・駒の動き・コンピューター対戦・駒の表裏の表現・タイトル保持者の寿命など熱っぽく意見交換しました。

   
  将棋熱心な小学校のお友達
   
        婁山杯大会
 



上海博物館前広場にて  

カラー将棋誕生の秘密

 その結果、将棋の文字は伝えやすく見やすいという理由から一字に、盤の大きさは世界的視野から囲碁の盤の大きさに、駒は表裏の色の異なるものに、盤の枡目は囲の字のように3桝ごとに太いラインを入れることにしました。そして6回の試作の結果、人間に無限の力を与えてくれる自然界の色。輝く大地・燦々とふりそそぐ真っ赤な太陽・澄みきった青空を基調に駒の表面からクリーム色・赤色・青色の3色駒が誕生しました。次に盤は緑色に白のラインを施してスポーツ感覚にしました。
 駒を大きくしたことにより迫力があり見やすいと評判も上々。将棋用品をカラー化したことにより自然と楽しみながらでき、表裏面異なる色にしたことによって成ったときの感覚がなんともいえない。そして3桝目ごとに太いラインにしたので指した駒の位置関係がわかりやすく学校教材などには適した21世紀にふさわしい将棋用品ができました。

 

   
   
カラー将棋大ブレイク!

 上海では日本将棋を取り入れた小中学校が160校あります。日本将棋を全校生徒ができる学校は3校あり、その生徒数は8万人にもなりました。このように将棋をカラフルなものにしたので日本将棋は上海で成功しました。
   
 現代教育の場では一つのものごとに対してあらゆる方面からの考え方を教育するのが難しい、という。日本将棋はチェスや中国象棋と違って持駒制度があるためとった駒のリサイクルができ、千差万別個性とか考え方によって盤上の形勢が変化してゆくのでこれが役立つ、という。詰将棋も人気が高い。
 ある学校で成績の良くない生徒7人を集め日本将棋の特訓をして半年経った頃、数学のテストをしたら平均点が10点上がった。テストした先生はすっかり日本将棋のトリコになってしまった例もあります。
   



上海市将棋学校にて
 
   


許 建東(きょ けんとう)   
   
 
1963年7月1日上海生まれ。上海財経大学卒。地元の銀行に勤務。「文化改革・開放」路線の熱気を受けて日本に留学。日本将棋の面白さにひかれ、五段の免状を取得。上海に戻り8人の仲間に将棋を教え将棋愛好会を作り、小中学校を中心に将棋普及活動に専任。日本将棋連盟上海部長。上海象棋協会1級教練。上海市将棋学校校長。著書「日本将棋入門」



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