野生動物と人間  (97.01.20)

 健康管理の一環として、在職中からバ−ド・ウォッチングを兼ねての
早朝散歩を楽しむようになってから久しい。
 現在の住居へ引っ越してからでも、もう2年半になろうとしている。名古
屋市内の東南のはずれにあることから、定番のコ−スは隣町の豊明市
方面が多い。
 少し歩けば、すぐ田圃や畑の中の道や雑木林の側を歩くことになるので、
四季折々の野鳥が観察できて、実に楽しい散歩となっている。

 現在は農閑期のため、お百姓さんに出会うことは極めて少ないが、春
から秋までは、何人かの親しくなったお百姓さんとの会話も楽しみの一つ
になってきている。
 ある時、「枝豆」の「苗」をご夫婦で1本1本丁寧に植えている光景に出会
ったことがある。
 それまで枝豆や小豆等の豆類は、そのまま豆の形で蒔くものだとばかり思
っていたので、不思議に思い、そのことを尋ねてみた。

 すると、この辺はカラスやキジバト、ドバト、キジ、コジュケイなど穀物類を
好んで食べる野鳥が多く、折角蒔いてもほじくって、大半を食べられてしまう
との返事です。まさに「ごんべぇが種蒔きゃ、カラスがほじくる」という図である
らしい。

 種のうちだけでなく、発芽して豆の形のまま頭を持ち上げてくると、それも食
べられてしまうのだそうです。だから手間暇がかかっても双葉の形ができるまで
育苗してから植え付けざるを得ないとのことです。

 対策として、細かいネットを畑一面に張ることも考えられるが、何しろ広い面
積なので、ネットを支える設備投資等をしたら採算が合わないとのことです。
そういえば、野鳥のキジを良く見かけ、双眼鏡で顔の表情まで眺めたりして、
バ−ド・ウォッチングを楽しんではいるが、お百姓さんにとっては「憎っくき野鳥」
としてしか見えない存在のようだ。

 「野鳥の会」のメンバ−の一人としては、当然のことながら野鳥の保護を訴え続
けていくことになりますが、一方、生活がかかっているお百姓さんにとっては何と
かならないかと嘆きたくなる気持ちも良く分かる。

 つい最近のテレビでも、北海道でエゾ鹿が農作物を食害する被害が大きくて困
っているとの報道があったばかり。野鳥には野鳥の、エゾ鹿にはエゾ鹿の、生き
のびて子孫を後世に残したい事情がある。

 野生動物と人間との関わり合いはどうあるべきか、今に始まったことではありま
せんが、その立場、立場の側に立つと、実に難しいテ−マではありませんか?