大記録とクスリ(1998.09.05)

 今スポ−ツ界の話題で、世界中から熱い視線を集めているのが米大リ−グの
強打者であるセントルイス・カ−ジナルスのマ−ク・マグワイアとシカゴ・カブスの
サミ−・ソ−サ選手の2人によるシ−ズン最多本塁打競争ではないでしょうか?

 現地における9/4(金)現在、マグワイアが59本、ソ−サが57本のホ−ムラン
を打っており、37年前に元ニュ−ヨ−ク・ヤンキ−スのロジャ−・マリスが記録した
61本の記録をいつ・どちらが打ち破って新記録を樹立するのか、大きな関心を集
めている。

 アメリカの大新聞でも誌上でのカウント・ダウンを始めているという。マグワイアの
出場する試合には、700人を超えるマスコミ関係者が押しかけているともいう。関心
の大きさが伺われる。

 伝説の大打者、元ニュ−ヨ−ク・ヤンキ−スのベ−ブ・ル−スは154試合で60本
(1927年)を記録したが、34年後、元同ヤンキ−スのロジャ−・マリスは試合数が
増えた162試合という条件の中で、61本を記録した。残念ながら、154試合までに
61本を打たない限り、大リ−グ記録としては認められないということで、彼の生存中
は新記録としては認められなかった。円形脱毛症になるほどのプレッシャ−と闘いな
がら打ったこの大記録も、本人の死後になってから認められたのはとても気の毒なこ
とであったと思う。

 今年はさらに37年振りの記録更新がかかっているのである。ファンの中には試合
数をウンヌンする人も居るのでしょうが、30年以上も破られなかった記録を破れるか
どうかは大きな関心事であることに間違いはない。

 それよりも気になることがある。それは9/4付の当地中日新聞によると、マグワイ
アのロッカ−の中には「アンドロステジオン」と呼ばれる「筋肉増強剤」の一種である市
販の錠剤のビンが数々並んでいるという。この「クスリ」は大リ−グでも認められている
ほか、プロバスケットやプロアイスホッケ−でも使用が認められているものだとのこと。 
 そのほか、マグワイアは筋肉増強のアミノ酸錠剤「クレアチン」も摂取しており、これは
ソ−サも使用しているという。

 リトルリ−グの子供たちが同じ「クスリ」に群がり、悪影響を懸念する声が広がってい
ると報道されている。

 「クスリ」と言えば、オリンピックの陸上100mで新記録を樹立したものの、禁じられ
ている「クスリ」を使用したということで、記録も金メダルも失ってしまったジョンソンを
思い出す。これは禁じられている「クスリ」を使用したということで致し方あるまい。

 今シ−ズン、マリスの記録(61本)を37振りに塗り替える新記録が樹立され、さらに
途方もない記録が残されたとしても、それはそれで素晴らしい記録であると認めるとと
もに、筋肉増強剤という「クスリ」がなかった71年前のベ−ブ・ル−スの60本という記
録は、ものすごく偉大な記録であり、依然として色褪せることなく、燦然と輝き続ける大
記録であると私は思う。

  (注) 本随想を書いたあと、マグワイア選手が70本の大リ−グ新記録を
     打ち立てたことは、みなさんご承知のとおりです。