音楽と教師 (97.02.07)
私は小学校を卒業した後、名古屋市中村区にある市立の豊国(とよくに)
中学校へ入学しました。この中村区というのは、ついこの間までNHKの大河
ドラマ「秀吉」の主人公である「秀吉」その人が産まれた地です。
今でも中村公園内には秀吉が産まれたと言われる場所が残っています。
この公園の道路を挟んだ東側に、秀吉を奉った「豊国神社」があり、この名前
をいただいた中学校だと何度も聞かされたことを今でも覚えています。
この中学校へ入って初めての音楽の時間に、先生に成り立ての若い音楽教
師が黒板に大きな文字で「音楽」と書き、一番廊下側の一番前の生徒に対し、
黒板に大書した「音楽」の文字を指差して、「音楽とは何ぞや?」と問いました。
小学校を卒業したばかりの者に、大上段から「音楽とは何ぞや」と問われても
どう答えてよいかの分かりません。「答えられなければ立っていなさい」、「では次
の人」と次から次へと立たされて、結局全員(54名)が立たされてしまいました。
当然のことながら私も立たされました。
教師は黒板に書かれた文字を指差しながら、「君たちは難しく考えすぎている
のではないか?」、「音楽とは読んで字のごとし、音を楽しむことだよ!」とおっし
ゃいました。
「君たちの回りの両親や兄姉やおじさん、おばさんたちの中にはクラシックこそ
音楽だとか、オペラやミュ−ジカルこそ音楽だとかその他のものを指して、これこ
そ音楽だと言う人たちがいるかも知れない。」 「それはそれでいいのだが、それ
だけを音楽だと思っているとしたら、人生上の楽しみが少ない人と言える。君たち
にはいろいろな音を楽しんで、人生を心豊かなものとして欲しい。」とも言われまし
た。
就職して職場の様子が段々分かってきた頃に気付いたことは、教養度が計れる
のではと思われるほど、結構クラシックファンが多いことでした。 こういう人たちは
クラシックに関して、いろいろな面で詳しく、本当に良く知っておられる、造詣が深い
と感心したことが何度もあります。
一方、音楽教師の影響をモロに受けた私は、気分によってクラシックも聞きます
し、ルンバ・マンボなどのラテン音楽もジャズや筝曲も聞きに出かけますし、CDも買
って帰ります。 本当に幅広く、いろいろなジャンルの音を楽しめるようになっており
ますが、いずれも奥行きはなく、詳しくはありませんので、どれもこれもウンチクを傾
けることは全くできません。
教師という職業に就いた人は、一人でも二人でも自分の教えの影響を受けてくれ
る者がいれば、その善し悪しは別にして「教師冥利」に尽きるのではないでしょうか?
この先生に、「お蔭様で随分幅広く音を楽しめる人生を送れるようになっています」
とお伝えしたくても、転勤、転勤で長い間郷里を離れているうちに、消息が全く分から
なくなっているのが残念です。
みなさん方の「音楽」はどのような音を楽しんでおられるのでしょうか?何かに詳し
く、造詣の深い方でしょうか? それとも・・・。
また、何か強い影響を受けた印象深い教師の思い出には、どのようなものがおあ
りでしょうか?