婦人科疾患の治療

当院では、婦人科症状の中で、更年期障害、不妊症、月経痛、月経不順、妊娠嘔吐、妊娠中の不快な症状(肩こり、背中の痛み、腰痛、股関節の痛み、脚の浮腫み)、逆子、乳汁分泌不全などの症状が多く、一定の効果を上げています。
特に、妊娠中は胎児、母体共々薬による身体の影響はなるべく避けたいものです。鍼灸治療を1度やってみて効果があまり感じられないようだったら、薬を使う、こんな対処の仕方も、1つのやり方だと覚えといてください。


1、更年期障害

更年期障害は閉経前後5年間くらいを更年期といいます。
日本産婦人科学会では
『更年期に現れる多種多様の症候群で、器質的変化に相応しない自律神経失調症を中心とした不定愁訴を主訴とする症候群』と定義されています。

●簡易更年期障害テスト(SIM)

下記テストは、病院の検査で内科的な異常がないけれど、調子が悪いとお悩みの方で、年齢的にも更年期(45〜55歳)の方は実施してください。

簡易更年期指数
@顔がほてる 10  6   3 
A汗をかきやすい 10  6 
B腰や手足が冷えやすい 14  9 
C息切れ・動悸がする 12  8 
D寝つきが悪い、眠りが浅い 14  9 
E怒りやすく、イライラする 12  8 
Fくよくよしたり、憂うつになる 7  5 
G頭痛、めまい、吐き気がある 7  5 
H疲れやすい 7  4 
I肩こり、腰痛、手足の痛みがある 7  5 


この評価表は、卵巣から分泌するエストロゲンの低下を反映したものです。ご自身がチェックした数字をすべて足してください。その総合点数があなたの必要なことです。

総合点 あなたに必要なこと
0〜25点       異常ありません                       
26〜50点 規則正しい生活、運動を実行しましょう
51〜65点 ライフ治療院を受診してください
66〜80点 当院の治療と漢方薬も必要
81〜100点 各科の精密検査、現代医学の薬が必要


■症状:頭痛、めまい、顔のほてり、上半身に汗をかきやすい、頚肩こり、腰痛、手足関節の痛み、息切れ・動悸がする、吐き気、疲れやすい、寝つきが悪い、眠りが浅い、怒りやすくイライラする、気力低下、憂うつなど多種多様の症状があり、検査しても内科的にどこも悪くない症状をいいます。

■心理面での特徴 ・・・ 臨床時に交わされる会話や言葉の意味を通して以下のような心理面での特徴が見られる方が多いようです。

1、身体の変化への戸惑い、不安が強い。

いろいろな身体症状を感じることが多くなるため、「更年期だから・・・」と頭では理解していても、実際に我が身に降りかかってくると話は別です。(>_<)
『悪い病気じゃないのか?』『本当に更年期なのか?』『私だけではないだろうか?』など、身体の面で数々の不安が押し寄せてきます。解決に向かってドクターショッピング、サプリメントなどの過剰な服用をするタイプと落ち込んで家庭に引きこもるタイプがみられます。

2、女性らしさへの自信を失いやすい。

女性ホルモンの低下に伴う身体の変化は、髪の毛の色艶、しわ、しみ、体型の変化(たるみなど)にも現れてきます。このことは女性としての美や存在価値が余々に失われていく事実として、女性として自信の喪失に繋がりやすいと思います。

3、子供の自立により、目標や生きがいを見失いやすい。

年齢的にも、今まで手塩にかけて育ててきた子供が自立することで自分の存在価値を見失ったり、やりがいを無くした気分に陥りやすい時期だと思います。

4、母親から姑や祖母と呼ばれる立場への戸惑い。

『お母さん』から『お祖母ちゃん』と呼ばれることの変化は女性のこころに大きなショックをもたらします。『おばあちゃん』とは老人やボケ、老後への不安など認識される方が多く、まだ若い50代の女性としてはなかなか認めにくいものです。

5、夫婦関係のありかたを見つめなおす時期。

50代の妻が更年期障害で苦しんでいる時期には、夫は社会的な立場上、最も充実した時期に入っていることが多いと思います。ですから、忙しい時間のない夫は、妻の体調などには関心を払えないのが実情だと思います。まして自分には無い『女性としての変化に基づく症状』は具体的に聞かされても実感がなく、『うん、うん。』と生返事をするのがせいぜいというところでしょう。

更年期の時期に最も必要とされるのは『思いやり』『安心感』『これからの老いの時期を一緒にどう過ごしていくのか。』という、今までの父母という立場から夫妻という立場へ移行する時期で、夫とのコミュニケーションを問われる時期でもあります。

6、今後の自分自身の生き方や自立に関して問題意識を持ちやすい。

『突然の熟年離婚』という最近の風潮から、女性として成熟した自立心が読み取れます。子育てから開放され、いよいよ自分のために生きるラストチャンスとみる方もいます。『今後は、自分のためにどう生きるか?』という問題定義に繋がっていきます。

■治療
自律神経失調症や心身症の治療の項目で述べたような、異常良導絡の調整と『5快』を日常生活で実行できるように、援助的な鍼灸治療をおこないます。


2、不妊症(不育症)

不妊症とは、避妊をしないで普通の結婚生活をしており、2年以上妊娠しないものを不妊症といいます。
不妊症や不育症で受診されるきっかけは、お姑さんが当院の常連さんで娘さんや、お嫁さんのことを心配されて、ご紹介を受けたものが多い傾向があります。

治療の適応症は、病院の検査で異常がないもの(婦人科の臓器は正常で働きが悪いもの)を当院の治療対象にします。また40歳以上のご婦人は難しいかもしれません。もちろんご主人も、同条件です。
また、東洋医学では、妊娠するが、胎児が発育せず、流産や子宮内で胎児の死亡に終わって生児を得ることができない病態、不育症も不妊症の1つと考えています。当院でも、過去に結果の良かった患者さんも、何例かありました。

■治療
3カ月間を1クールとして週1〜2回通院してもらいます。その間、自宅では基礎体温の記録を必ず毎日決められた時間に記録してもらいます。これは不妊治療には必須条件です。また、漢方専門医のところで漢方薬を処方していただきます。また、ご自身では、お灸の実施や小型アイロンで全身を温めてもらいます。その他、日常生活などの指導もします。
平成2年から不妊症の方の成績は、おおまかに評価すると6割の方が妊娠に成功しています。しかし、当院の治療がきっかけになって妊娠したのか、自然経過で妊娠したものかは学術的には判別できません。学術的な理論はどうであれ当院で加療中に妊娠されたのはまぎれもない事実なのです。

性交のタイミングは、ご主人が、生殖能力が弱いものや精子の数が少なく、元気がないものでも漢方薬治療(補中益気湯)を性交3〜4時間前に服用することで活動的になるようです。また、基礎体温や排卵診断薬を参考にして排卵日の1〜2日前に性交すると良いようです。

学会の研究報告では、鍼治療は子宮内環境を改善させる可能性は高いという学会報告はありますが、卵胞の質を高めるというような報告は今のところないようです。

不妊症の特徴として、虚弱体質や胃腸が弱いタイプ、足腰の血流障害や浮腫み冷えがみられるタイプがあります。自律神経を調整することや足腰の婦人科に関連している、反応良導点や経穴(ツボ)に鍼灸治療をおこなうことで、体調を整え妊娠しやすい身体につくりあげます。客観的な評価は、基礎体温の安定化に基づいておこないます。


3、月経痛・月経不順

両症状とも、卵巣や子宮に器質的な異常がなければ、自律神経を調節することで解消できるものが多いと思います。

■治療
特に生理痛の場合は、生理予定日1週間前に来院していただき、皮内鍼(皮膚に数ミリ、小さい鍼を絆創膏で固定するもの)を特定の反応良導点に固定して、生理中も過ごしてもらいます。案外生理痛も軽く楽に過ごせるようです。ポイントは足腰の血流を良くすることです。冷えは厳禁です! そのような治療を数ヶ月続ければ生理痛は楽になってしまいます。


4、妊娠嘔吐

妊娠嘔吐とは『つわり』のことですが、妊娠6週前後から起こりはじめ、約6〜8週間前後で自然に消失する軽度の悪心、嘔吐といった症状で、生理的現象であると考えられています。空腹時や食後におこる吐気及び嘔吐が主な症状です。
何も飲食物を摂取できずに脱水症状や栄養障害で母子生命の維持を脅かすくらいの重症(妊娠悪阻)は、産婦人科で点滴をうってもらってください。

食事は自分で作ると症状が悪化しやすいので、作ってもらったり、外食が良いと思います。そして、すべての食事は冷たくして食べた方が口当たりが良く食べやすいと思います。好みの時間に好みのものを食べることなど、いろいろ工夫することが大切です。また、口乾のある時には、氷を口に含んで、自然に溶けるようにすると良いでしょう。

■治療
全身の自律神経を鍼灸で調整することと皮内鍼を使用します。みなさん、つわりが軽減して感謝されています。


5、逆子(骨盤位)

逆子(骨盤位)とは、赤ちゃんの骨盤が下方にあるものをいいます。母体内の胎児が横位、または斜位ですと頭部と胴が同時に産道を通ることになり分娩が困難になります。正常な位置に戻すことが必須になります。当院では、3〜4回を1クールとして治療経過を診ていきます。

■治療
何故治るか原理は不明ですが、足の小指の爪の生え際の一番外よりのところが『至陰』という経穴(ツボ)です。その経穴(ツボ)に、お灸をします。私の子供も、妊娠後期でも治りました。嫁に感謝されました。( ^)o(^ )


6、乳汁分泌不足

乳汁の分泌が不十分で授乳に足りる分量が出ないものをいいます。乳管の開きが悪くて不足するものと、乳汁を作らないものとがあります。学校で乳房マッサージなどは習うのですが、私は男性治療者ですので実施しておりません。ですから当院では、乳管が開いた後の、乳汁分泌が少ない症状を対象にしています。

■治療

この症状は、産後の疲れと密接に関係しています。頚肩こり、大胸筋部のこりを緩和させることがポイントになります。自律神経を調整して、頚肩こりを、鍼灸で処理すれば、良い結果になると思います。当院では、治療中、乳汁が出すぎてベットシーツを濡らした経験もあります。




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