はじめに

私は、アビーの先天性心疾患がわかったとき、
もろもろにかかるお金を、売り手側に少しでも負担してもらい、
事の重大さを認識してもらって、今回の交配の組み合わせでは
もう子犬を産ませないで欲しい、ということと、
健康な子犬が産まれることを、第一に考えた繁殖を心がけてもらいたい、
ということをわかってもらいたい、と思いました。

最近、同様のトラブルが非常に多く、先天性疾患や、
ペットショップにいるときに感染した病気が見つかったときのために、
責任逃れのための契約を押しつける店もあるようです。
でも、契約をしてしまったから、といって、あきらめるのはまだ早いのです。
そういったトラブルが多いわりに、それに関する情報って、
なかなか少ないんです。
なので、私が学んだことを残しておきます。
私は、法律を学んだ者ではないので、間違い等ありましたら、
メールでお知らせ下さい。

また、ペットショップと交渉しようという方がいましたら、
まずは、動物愛護団体、獣医師会、消費生活センター有志などで構成する
(社)日本動物福祉協会に、電話相談してみて下さい。
電話番号は03-3405-5681
(祝祭日を除く月曜〜金曜 午前9時〜午後5時)です。

 
 
 

実は、お店またはブリーダーから、愛犬を譲り受けたときに、
あなたが愛犬をどう選んだかによって、
交渉のポイントが変わってきます。 あなたの場合は次のどちらでしたか?
上の図のように、子犬がたくさんいる中から、自分で
気に入った1頭を選んだ場合や、
その犬唯一しかない血統を持ち、代わりが無いという場合。
「特定物」となります。

売り手側は、瑕疵(かし)担保責任を問われます


この場合、売り手側は、こちらが指定した子犬を引き渡せばいいので、
その子犬が病気や障害をはじめから持っていたとしても、
売り手側は、売買契約の義務をきちんと果たしているため、
こちら側が他の子犬と交換したい、と思っても、交換は出来ません。
(売り手側から交換を申し出た場合を除く)

しかし、あなたは、その子犬を、
なんの障害や病気もなく、健康だと信じてもらいうけたはずですね。

ペットショップにいるときから、障害を持っていたり、
病気に感染していたことが、獣医さんの判断で明らかな場合、
隠れた欠陥のあるペットを売った責任、つまり、瑕疵担保責任を、
ペットショップに問うことができます。

損害賠償を請求したり、また、そのペットを飼った目的が果たせないような
重大な障害等なのであれば、契約も解除することができるようです。
その損害賠償というのは、「信頼利益」に限られます。
ペットショップに、健康な子犬だと信じて支払った代金と、
障害があると判明したその子犬の、実際の取引される額との
差額が信頼利益です。
その障害や病気の、治療費は、請求できると考える人もいるようだし、請求できないと考える人もいるようです。

アビーの場合は、こちらでした。
ペットの購入トラブル110番に相談しましたが、
やはり、治療費全額、というのは難しいとのことでした。
ペットショップとの交渉で、アビーの代金全額と、
どんな病気かを確定させるために行った精密検査の
代金の半額を返金してもらいました。

上の図のように、性別や種類、毛色だけ指定して、
店側に、その中から1匹選んでもらった
(その中で、どの子になるのか自分ではわからなかった)という場合。
「不特定物」となります。

売り手側は、債務の不履行を問われます。

この場合、売り手側は、「中等の品質を有する物」を、jこちらに引き渡さなければなりません。中等の品質、というのは、病気や障害などを持っていない、健康な子犬のことです。

もう、代金を支払って、あなたの愛犬としての生活をスタートさせたあとに、
病気や障害が判明した場合、売り手側は、
「中等の品質を有するものを引き渡す義務」を怠ったとして、
債務の不完全履行責任を問われることになります。

この場合も、ペットショップにいるときから、障害を持っていたり、
病気に感染していたということが、
獣医さんの判断で明らかでなければなりません。
売り手側は、その病気や障害について、動物取扱業者としての
注意義務を尽くしてもわからない事柄だったということが証明できなければ、
責任を免れることはできません。

損害賠償で求めることができるのは、
新しい犬との交換や、治療費とされています。

どちらの場合でも、ペットショップに責任を問うことはできます。
ただし、損害賠償が請求できるのは、その病気や障害が判明してから
1年以内、だそうです。
当事者どうしの話し合いで決着がつかない場合、
裁判を起こすという手もあるのですが、
裁判には、お金も、手間も、時間もかかります。
30万円以下であれば、小額裁判でも大丈夫ですが、
それでも、司法書士や弁護士を頼むとお金がかかります。

私の場合は、話し合いでなんとか双方が折り合えたのでよかったのですが、
もし折り合いがついていなかったら、裁判は諦めていたと思います。
今は、このようなトラブルの場合、ペットは、「欠陥のあるモノ」として
扱われてしまいます。

社会が、ペットたちの幸せを第一に考えた法律を作ってくれたら
どんなにいいか・・・と思います。
 
 
 

契約書を見返したときに、こんなことが書いてあった、どうしよう、という
ときがあるかと思います。
そういう例で多いのは、

1.契約書に、返品・交換には一切応じない、と書いてある
2.返金はできないが、交換のみ応じる、と書いてある
3.ペットショップが指定した獣医以外では、責任を負わない、と書いてある

1のような特約は、無効です。
2の場合でも、必ずしもこの特約が有効というわけではないようです。
アビーの場合は、この特約がありましたが、
動物福祉協会に相談したときには、
そのような一方的な特約は無効です、と言われました。
3の場合、ペットショップの指定以外の違う獣医さんにかかっても、
損害賠償を請求できる余地はあるようです。

このようなトラブルを未然に防ぐためには、
病気や障害が無いことを、確認した上で、口約束だけではなく、
契約書を交わすこと。
購入後、獣医を自由に決められるかを確認すること。
ペットショップにいる間に、健康診断をしてもらうこと。
それができなければ、あなたの愛犬になってすぐ、
獣医さんに健康診断をしてもらうこと。
こんなことが必要になると思います。

 
 
   
 
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