211系0番台、車両紹介

このページでは211系0番台とは何たる車両か・・・、をご紹介いたします。
JR東海には国鉄時代の1986年11月にデビューし、会社発足時に継承した4連2本の211系0番台が配置され、2022年3月6日まで運用されておりました。

211系0番台は新製配置から1989年初頭まで神領区に配属(K1・K2編成)されていましたが東海道線の快速を中心に活躍(中央線内は回送扱い)していたため、1989年に大垣区へ転属されました。この時にクモハの車両番号と編成記号の入れ違いがおこりました。また同時に重要部検査を受け、電気連結器の設置並びに湘南色に帯の色が変更されました。その後、2011年9月までの約22年間大垣区に配属され、誕生以来ほぼ東海道線一筋で活躍しておりました。途中の2006年10月改正で仲間の5000番台が静岡へ全転出、大垣211系ファミリーはこの8両になってしまいました。そこから約5年間東海道線名古屋地区でグリーンとオレンジの湘南色で活躍しておりましたが、同地区での運用は2011年9月15日をもって終了いたしました。

旧C1・C2編成ともどもそれぞれが運用終了後比較的間を置かずに神領区へと転属回送され、K51・K52編成となりました。そして2011年9月下旬より主に関西線で213系5000番台に代わり運用に入りました。関西線での運用はJR東海最経年車両らしく、主に朝夕のラッシュアワーを中心に活躍しました。過去には中央西線でも運用を持っていましたが、2014年3月ダイヤ改正で撤退しました。

ちなみに、JR東海の211系0番台の車番はJR東日本配置の同番台の続番扱いとなっておりました。なお、新製時は電気連結器なし(代わりにジャンパ線1本あり、名古屋地区117系登場時と同じ)、車体の帯が湘南色ではなく、371系に近いブルーとホワイトの帯でした。同系が登場した国鉄末期は現JR東海がコーポレートカラーに新幹線ブルーを望んでおり、その願いをこめたとか・・・。

211系0番台以降のJR東海近郊型電車(315系を除く)との相互間併結可能表及び各性能比較表はこちらからどうぞ。(PDFファイル、42キロバイト)
なお、製造後の主な改良はフレーム2ページ目の「JR東海車両改造履歴」および「製造後改良」で詳しく紹介いたしております。


C1編成運転台 C2編成運転台(ATS-PT導入後)
速度計上部のPT警告表記搭載に伴い、EB警告表示灯・増圧ブレーキ表示灯がPT警告表記にまとめられました。
増圧ブレーキは時速100キロ以上で作動するため、神領区転属後でも使用されていることがありました。
211系0番台室内(2004年撮影)
シートはバケットシートです。床の上に点検用のフタがあるのが、M車の証拠でした。
また、2008年の重要部検査施工時にドア上部につり革を増設しました。つり革増設後の写真は「製造後改良」にて紹介しています。
211系0番台帽子掛け
JR東海発足後に製造した211系5000番台はオールロングシートであるため、帽子掛けは設置されませんでした。
金属製の網棚も同系のみの特徴で、211系5000番台はパイプ式の網棚でした。

行先表示機

211系0番台の方向幕
1999年の120キロ改造時に311系と同一仕様にするために種別・行先を分離して表示できるようにしました。
この仕様は211系では唯一の仕様となっていました。

211系0番台の方向幕(車内側より撮影)
幕式のため211系5000番台の1次車のLED式より厚みがあるのも特徴でした。中央部に点検用の切れ込みがありますが、これは製造当初からあるのか、120キロ改造時に設置されたのかは申し訳ありませんが分かりません。

211系0番台の台車(DT50-B形)
1999年の120キロ運転対応改造工事の際にヨーダンパが設置されました。211系では唯一の装備でした。

211系0番台のパンタグラフ(登場時〜2008年)
パンタ高が低くないために、中央線の南木曽以遠、身延線の乗り入れはできませんでした。

現行パンタ
211系0番台パンタグラフ(2008年〜)
313系と共通の部品(C-PS27)に交換されました。
これにより中央線南木曽以遠への乗り入れも可能になったものの、マーク(◆)が無い状態でした。
(ただし、JR東海管内ではC-PS27に加え、屋根高さに配慮が必要な身延線は乗り入れ不可能)

そののち、パンタグラフを取り換えてから10年を経た2018年にマーク(◆)が設置されました。

211系0番台空調装置
国鉄標準のAU75が搭載されていました。この車両以降JR東海では1車両当たり2個搭載の準集中式に移行しました。

211系0番台転落防止ほろ
写真の物は2013年ごろにラインカラー無のものに取り換えられた後のものです。

クハ210形トイレ窓
JR東海になってから製造された211系以降はトイレ窓が無くなったため、同社所有の車両では最後までトイレ窓があった車両となりました。
クハ210形トイレ
トイレの大きさ、トイレ横に座席があるところは211系5000番台と共通でした。JR東海の近郊型では1993年製造のキハ75系以降は洋式トイレが採用され、211系と同時期製造の311系までが和式トイレ採用車両でした。
(213系は2011年以降にトイレを設置しており、製造当初はトイレなしでした。)
トイレ前座席
トイレを使用した旅客と座席利用者が目を合わせないようにトイレ前だけをクロスシートにしたのは国鉄車両の伝統的なシート配列でした。この配列は211系5000番台にも踏襲されていました。

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