海を渡る蝶 アサギマダラ


アサギマダラ アサギマダラ

フジバカマを吸蜜するアサギマダラ。左の写真も。
アサギマダラ(浅葱斑、学名:Parantica sita)は,チョウ目タテハチョウ科マダラチョウ亜科に分類され
るチョウの1種。翅の模様が鮮やかな大型のチョウで,長距離を移動する。成虫の前翅長は5〜6 cm
ほど。翅の内側が白っぽく,黒い翅脈が走る。この白っぽい部分は厳密には半透明の水色で,鱗粉
が少ない。和名にある「浅葱」とは青緑色の古称で,この部分の色に由来する。
翅の外側は前翅は黒,後翅は褐色で,ここにも半透明水色の斑点が並ぶ。

オスとメスの区別はつけにくいが,オスは腹部先端にフェロモンを分泌するヘアペンシルという器官
を持つ。また翅を閉じたときに,尾に当たる部分に濃い褐色斑がある場合があるが,これは性票で
雌にはない。これで雌雄の同定が可能である。
アゲハチョウ科の様に細かく羽ばたかずにふわふわと飛翔し,また,人をあまり恐れずよく目にする
ため人気が高い。日本昆虫学会による国蝶選定の際に,ナミアゲハやアオスジアゲハ等と共に候補
に選ばれたが結局はオオムラサキが選定された。
夏から秋にかけてはフジバカマ,ヒヨドリバナ,アザミなどのキク科植物の花で吸蜜する姿が見られる。

観察会,説明風景 マーキング法の説明

2016年10月のアサギマダラ観察会。
アサギマダラの捕獲方法・マーキング等について説明している。アサギマダラの成虫は長年のマーキ
ング調査で,秋に日本本土から南西諸島・台湾への渡る個体が多く発見され,また少数だが初夏から
夏にその逆のコースで北上している個体が発見されている。
日本本土の太平洋沿岸の暖地や中四国・九州では幼虫越冬するので,春から初夏に本州で観察され
る個体の多くは本土で羽化した個体と推測される。

移動の研究は,捕獲した成虫の翅の半透明部分に捕獲場所・年月日・連絡先などをマジックインキで
記入(マーキング),放蝶するという方法で個体識別を行う。このマーキングされた個体が再び捕獲さ
れた場所・日時によって,何日で何Km移動したか,あるいは同所で捕獲した場合何日そこに居たか
分かる。左写真の講師によれば,北海道でマーキングされた蝶が佐久島で捕獲されているし,佐久島
でマーキングされた蝶が大東島で捕獲されているという。

マーキングされたアサギマダラ マーキングされたアサギマダラ

 

マーキングされたアサギマダラ マーキングされたアサギマダラ

 

弱肉強食。良〜くご覧あれ!カマキリが…


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