《晩鐘》や《鍬を持つ男》のように,本質的に宗教的な絵画によって有名なジャン=フランソワ・ミレーは,
19世紀のもっとも矛盾に満ちた画家の一人である。彼はときたま,識者たちの限られたサークル内でさえ
まったく知られずにエロティックな主題を扱った。一般大衆がミレーのエロティック芸術を目にしたら,同じ
作者が宗教的作品を作りえたなどと信ずるのは難しいことだろう。
上記の一文は,ミレーによるこれらのイラストを掲載したブラドリー・スミスの『巨匠のエロティック芸術』
イタリア語版に掲載されたもので,スペインの画家のサルバドール・ダリが,その著書『ミレー《晩鐘》の悲
劇的神話』を出版するにあたり,引用するよう,求めたもの。
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