2015年8月16日の中日新聞朝刊から          2015/8/16~10/26

  一面の見出しは“大戦の惨禍「深い反省」
 天皇陛下追悼式で初の言及 とあります。念のため全文を書きます。
 「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがいのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に七十年、戦争による荒廃からの復興、発展に向け払われた国民のたゆみない努力と平和の存続を切望する国民の意識に支えられ、わが国は今日の平和と繁栄を築いてきました。戦後という、この長い歩みに思いを致すとき、感慨は誠に尽きることがありません。
 ここに過去を顧み、さきの大戦に対する深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民とともに、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心からなる追悼の意を表し、世界の平和とわが国の一層の発展を祈ります。

 つづいて、安倍首相の式辞全文を書きます。
 天皇、皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、戦没者のご遺族、各界代表多数のご列席を得て、全国戦没者追悼式を、ここに挙行いたします。
 遠い戦場に、倒れられたみ霊、戦禍に遭われ、あるいは戦後、はるかな異郷に命を落とされたみ霊の御前に、政府を代表し、慎んで式辞を申し述べます。
 皆様の子、孫たちは、皆様の祖国を、自由な民主的な国に造り上げ、平和と繁栄を享受しています。それは、皆様の尊い犠牲の上に、その上にのみ、あり得たものだということを、わたくしたちは、片時も忘れません。
 七十年という月日は、短いものではありませんでした。平和を重んじ、戦争を憎んで、堅く身を持してまいりました。戦後間もないころから、世界をより良い場に変えるため、各国・各地域の繁栄の、せめて一助たらんとして、孜々たる歩みを続けてまいりました。そのことを、みなさまは見守ってきてくださったことでしょう。
 同じ道を、歩んでまいります。歴史を直視して、常に謙抑を忘れません。わたくしたちの今日あるは、あまたなる人々の善意のゆえでもあることに、感謝の意を、日々新たに致します。
 戦後七十年に当たり、戦争の惨禍を決して繰り返さない、そして、今を生きる世代、明日を生きる世代のために、国の未来を切り開いていく、そのことをお誓い致します。
 終わりに今一度、戦没者のみ霊に平安を、ご遺族の皆さまには、末永いご健勝をお祈りし、式辞と致します。

 最後に遺族代表 野間征子さんの式辞全文を書きます。
 本日、ここに天皇、皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、各界の代表をはじめ、全国各地から遺族代表が集い、全国戦没者追悼式が挙行されるに当たり。戦没者遺族を代表いたしまして、謹んで追悼の言葉を申し上げます。
 今日この日は、先の大戦が終結して七十年となります。過ぎし大戦において、祖国の安泰と家族の行く末を案じつつ、ある人は厳寒の北方地域の戦いに、ある人は鉄をも溶かす灼熱の島での戦いにと、祖国のために勇んで赴かれ、尊い命をささげられました。
 両陛下が常に戦没者のことに思いを致され、本年はパラオ諸島を訪問され、み霊に尊崇の誠をささげてくださいましたことは、私たち遺族にとりましても無上の慰めでございます。遺族一同を代表致しまして、心よりお礼申し上げます。
 私の父が出征したのは、まだ私が、母親のおなかの中にいた時でした。写真でしか知らない父ですが、父親の面影を追って、先般ニューギニアへ行ってまいりました。日本からはるか離れた異郷の地で、父はどのような思いでしんでいったかと思うと、胸の奥から込み上げてくるものがありました。
 戦争は実に悲惨で、残酷なものであります。私たちが身をもって体験した悲しみや苦しみは、誰にも味わわせたくはありません。
 戦争を知らない次世代の人たちに、戦没者が残された尊い教訓、平和のありがたさ、命の大切さをしっかり伝え、再び悲惨な戦争を繰り返すことなく、世界の平和に向けて、たゆまぬ努力を致すことを、お誓い申し上げます。
 政府が、八月十五日を「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に制定されましたことは、誠に意義深いものと存じます。
 本日は、多くのご来賓のご参列のもとに、かくも厳かに追悼式を挙行していただき、ありがとうございました。
 終わりに、み霊たちのご冥福、祖国日本の平和と発展、ご参列の皆さまのご多幸とご健勝を祈念致しまして、追悼の言葉と致します。

 別に、衆参両議長の追悼の辞も載っていましたが、要旨でしたので書きませんでした。感想はあえて書きませんでした。


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