ベートーヴェンの聴覚障害が始まったのが25歳のあたりからですから,その頃煩
った病気によるものだと推察できます。
いくつかの医学論文で取り上げられた有力な説が「梅毒」です。現在はペニシリン
という特効薬があるため,梅毒は早期発見すれば治療できますが,ペニシリンが発
見される1929年以前は,不治の病でした。ベートーヴェン(1770〜1827)は死
ぬまで,自分を長年悩ませた聴覚障害と慢性の下痢・腹痛の原因を解明しようと必
死でしたが,何故か彼や周りの医師が梅毒を疑っていた形跡が見られません。
そのため、適切な治療を受けられず、聴覚や性格に障害を引き起こしたと考えられ
ます。
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