米を噛んで造るという酒についての文献上の初見は奈良時代初期の「大隅国風土記」
口噛みの酒は,東アジア一帯や東南アジア・南太平洋地域から中南米にかけて広範囲に
わたって分布しており,沖縄では明治時代まで祭事用の酒造りとして伝承されていた。
中期縄文人は,クリ・ドングリ・クルミなどの堅実類や,カタクリ・ヤマノイモ・ユリの根などの
根茎類,アワ・ヒエなどの雑穀類などのデンプン類の食物を食べていたと推定される。
このようなデンプン類をゆっくり噛んでいると,唾液中の糖化酵素(アミラーゼ)によってデン
プンが分解され,ブドウ糖ができて甘くなる。 甘くなったデンプン類の食物を,容器に吐き溜
めておくと,空気中に浮遊している野生酵母が容器に入り,アルコール発酵が起こり,お酒に
なる。
これを「口噛み酒」と呼んでいる。
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