竹取物語は政権糾弾の書!



ご存じの通り,『竹取物語』は,成立年,作者ともに不詳で,日本最古といわれる物語。
『竹取物語』は通称で,『竹取翁の物語』とも『かぐや姫の物語』とも呼ばれています。

竹の中にかぐや姫
天上に帰るかぐや姫
竹取翁物語トップページとラストページの挿絵(早稲田大学図書館)より


かぐや姫が,求婚した公達に要求した「宝物」の品々

物語中の公達
探し出してくるよう,言われた宝物
いしつくりの皇子
仏の御石の鉢
右大臣あべのみむらじ
火鼠の裘
大納言おおとものみゆき
龍の首の珠
中納言いそのかみのまろたり
燕の産んだ子安貝
くらもちの皇子
蓬莱の玉の枝

かぐや姫に求婚した公達とモデルにされたの実在の人物

物語中の公達
モデルにされたと思われる人物
いしつくりの皇子
多治比嶋
多治比嶋の一族に「石作氏」がいる
右大臣あべのみむらじ
右大臣阿倍御主人
大納言おおとものみゆき
大納言大伴御行
中納言いそのかみのまろたり
中納言石上麻呂
くらもちの皇子
大納言藤原不比等
藤原不比等の母親の姓は「車持氏」
役職は701年の「公卿補任」(朝廷の歴代の職員録)による

いよいよ,本題…どの部分が政権糾弾なのか?

「くらもちの皇子(藤原不比等)」だけを卑劣な人物として描いている。
以下『竹取物語』の一部を要約。

「くらもちの皇子」は,策略にたけた人で,朝廷には「湯治に出かけます」と言って休暇を願い
出て,人々には出発したと見せかけて戻り,鍛冶細工師六人を召し寄せ,かぐや姫が言って
いたものと寸分たがわないもの作り上げた。
出来上がった「玉の枝」をかぐや姫の元へ届け,如何に苦労したか,言葉たくみに話し始めた。
竹取翁は本物だと思い込み,寝床の支度まで始める。そこに,職人たちが「食うものも食わず,
千日余りも力を尽くしたにもかかわらず,報酬を受け取っていない」また「出来上がったら官職
も授けようとも言った」そもそも「蓬莱の玉の枝」が欲しいと言ったのはかぐや姫だから,報酬を
払って欲しいと訴え出た。かぐや姫はただちにこれを返品し,職人たちには褒美を与えた。
「くらもちの皇子」は闇に紛れて逃げだし,家来に命じ,職人たちを待ち伏せて血が出るほど殴
り,職人たちから褒美を奪い,捨ててしまった。

誰が,何のために…?

時の権力者「藤原氏」を憎んでいた何者か,または政権の有り様を危惧していた何者かが
「くらもちの皇子」という隠れ蓑を使って藤原不比等(平安朝廷)を糾弾したのである。
「くらもちの皇子」だけが他の四人とちがい,「公卿補任」に名前がないのは,「藤原不比等」
と直ぐ分かってしまうと,どんな仕返しをされるか分からないからであり,作者不詳となって
いるのも同じ理由で名乗れなかったのでである。
『竹取物語』の作者としては,「藤原氏」を憎んでいた『紀貫之』,政権の有り様を危惧してい
た『空海』などが取り沙汰されている。


竹取物語(早稲田大学図書館)


竹取翁博物館


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