敦煌から西安へ
西安に着き,車に。西安でのガイド,何さんが「これから兵馬俑へ行く」と言うので,「二人ともすでに見学しているので…」と説明をして,行き先の変更を申し出る。二度,三度
と西安に足を運んでいる人が結構いるようで,何も問題なく「良いですよ」。敦煌のガイド(梁さん)から何さんに連絡があったハズなのに…見学地の変更は会社に報告をせね
ばならぬようで,意識的に無視したのか?単純にど忘れか?…まぁ,兎も角,行き先の相談をする。2女さんは楊貴妃の墓へ行きたかったらしいが,「遠いし,小さなお墓があ
るだけ…」と言われて諦め,茂陵へ行くことで落ち着く。途中,何さん曰く「兵馬俑へ行かなくて良かったですよ。実は,国慶節で,見学者が多く,2時間待ちという情報を仕入
れていました…」
茂 陵
前漢の第7代武帝劉徹の陵墓。前漢の皇帝の陵墓では最も大きい。武帝即位の翌年から造営に着手し,53年の歳月と毎年の税収の3分の1を費やして完成させたと言う。
付近には武帝に仕えた功臣や李婦人の陪塚が点在している。また,茂陵周辺からは,豪華絢爛な金メッキの銅馬像,青玉鋪首,銅製の犀形酒器や金銀メッキの竹節香炉など
が出土している。前漢末期には既に盗掘にあっているという記録もあるとのこと。「漢書」貢禹伝には,金銭財物のほか生きた馬・虎・豹 なども埋蔵されたとある。
茂陵から東に1km程のところに霍去病(かくきょへい)の墓があり,現在では茂陵博物館として公開されており,我々も茂陵見学後,茂陵博物館へ。
霍 去 病
18歳のときに叔父の衛青について匈奴の地に出撃したのを皮切りに,あいついで北方へ出撃し,そのたびに匈奴を殲滅させ,河西回廊と西域との間の交通路を漢に帰順させ,
シルクロードの基礎を開拓した。若くして驃騎将軍となり,叔父の衛青と共に行った匈奴との戦いは「史記」にも詳しい。
しかしながら、前117年、霍去病はわずか24歳で病死してしまう。武帝はその死を惜しみ,長安と茂陵の間数10kmにわたって隊列を並べ葬送の儀を行ったという。
霍去病の墓は,霍去病が匈奴との戦いに明け暮れた「祁連山」の形を象った塚で,墓前に武帝がその戦功をたたえて建てた大型の石刻が並ぶ。匈奴を踏みつける馬などが並ん
でいる。陽関の復元施設の中庭に馬に乗った,霍去病のどでかい石像(名古屋市の国際会議場のと同じくらい。ローカルネタで申し訳ない…)が置かれていた。
西 安
西安市は,陝西省の省都。古代より政治の中心地として西周から秦,漢から隋・唐の都城と十数の王朝の都として千年の歴史を有する古都である。「長安」といった方が分かりや
すい?国家歴史文化名城に指定され,世界各国からの観光客も多い。
空海も遣唐使としてここの「青龍寺」で,阿倍仲麻呂はここ長安に54年も住んでいる。近年では1898年の「義和団事件」で西太后ら皇族が西安に避難している。また1936年には
国共合作による日本政府への対抗を目指す張学良が蒋介石を軟禁した西安事件の舞台として有名。さらに2004年,遣唐使・井真成の墓誌が市内から発見され,話題となった。
夕食は餃子づくし。このツアーで唯一満足のいく夕飯であった。
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敦煌空港。
写真では分かりにくいが,飛行機の後方は莫高窟がある砂丘。
ここから祁連山脈などを超えて西安まで。草木が全く生えていない山が延々と続く…
「祁連」は匈奴語で「天」の意であり,平均の高さが海抜が4000m以上で納得出!!
李白の「明月出天山 蒼茫雲海間 長風幾万里 吹度玉門関」の中の「天山」は祁連山
を指す。山脈は西北から東南へ走り,数条の平行する山脈の呼称。長さ2000km,幅
は200〜500km。その雰囲気を下の写真で…カメラ提供:2女さん
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祁連山脈(多分…)
機内で写真を撮ることはないだろうと考え,カメラをトランクに入れてしまってシマッタ!
砂漠の一本道を疾走する車!俯瞰すると迫力も違う!発想力の乏しさが悔やまれる。
今まで何度もこのような思いはしているのに!学習能力ゼロ!アホなつぼみでした…
様子を察した2女さんが,カメラを貸してくれたが,慣れないデジカメでは思うように撮れ
ない…老眼には小さな液晶は辛い…というか,情けないことに殆ど役に立たない…
今年(2010)の富士山・初冠雪は9月25日。 ここは多分富士山より高い。
西安が近づくにつれて緑が見え始め,ホッとする。緑の力はスゴ〜イ!!
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茂陵とその碑。
造営されたときは,もっと高かったという。造営直後は草木が生えていないので雨で土が
流れ去り,草木が生い茂るようになり,現在の高さに落ち着いたとか。
この石碑を保護している建造物のレンガは落書きだらけ。今年のものも…
ザッと見たところ,日本人らしい落書きはなく,何となくホッとする。
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霍去病の陵墓。以前は400m四方の城壁が築かれ墓を守護する兵舎があったと言う。
茂陵文物管理所が置かれ,かつてその墳丘を飾っていた石獣などを陳列している。
そういえば…陽関博物館で陳列されていた,青銅製の鏡について,敦煌でのガイドの
梁さんが怪しげな説明をしたので即座に訂正したっけ…ここのように鏡の両面が展示
れていればそんな初歩的な間違いはなかったのに。で,ここでは金属鏡の磨き方につ
いてガイドの何さんに説明をする。
墓碑の裏側に階段があり,頂上からは茂陵をはじめ陪葬墓がよく見える。
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墓前に武帝がその戦功をたたえて建てた大型の石刻が並ぶ。この石像は匈奴の兵士
を踏みつけている馬。
この他に,獲物をねらってうずくまるトラ・ものうげに寝そべっているウシなど,リアルで
生命感にあふれた,2mから3mもあるような花崗岩の巨石の像が14点並んでいる。
日本ではあり得ない!と思ったのは,すべて「国宝」に指定されているのに,むき出し
の状態で陳列されいて誰でも触ることが出来るという点だ。
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見て分かるように,雨からはかろうじて守られているが,さわり放題…
石だから触ったぐらいで壊れないとタカをくくっている?
「左司空」という文字を記した刻石があり,作者名と考えられている。
左後方に見えるのは李婦人の陪葬墓の一部。
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霍去病の陵墓,頂上から村を見る。
茂陵のまわりには,衛青や霍去病の墓など,20あまりの陪塚が作られている。
陵を護るための茂陵邑が南側につくられ,漢の時代に 28万人が住んでいたと
のこと。遠くに見える村はその後裔か?
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安定門。この写真の右側がいわゆる「西域」。シルクロードの出発点
門が3つあるが,これは車社会になったため,20世紀になってから左右に2つ門を作った
とのこと。写真の,明代に作られた城壁は高さ12m,頂上の幅は12〜14m。底部の幅
は15m〜18m。現在の西安は東西に4km,南北に3kmの城壁で囲まれている。
門は二重の門となっていて,中庭?がある。一方の門から敵を招き入れ、反対側の門を
閉じ,城門の上に待機していた弓兵が火矢をもって狙い撃ちをしたそうだ。
ここは西の城門とも呼ばれている。当然,「北」「南」「東」もあり,南門が一番美しいとか。
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西の城門の楼(写真はありまん)最上階…といっても2階だが…から西域を見る。
楼は屋根が三枚見えるので三階建てに見えるが,実は二階建て。下から一枚目・二枚
目は本物の屋根で,一番上の屋根は飾り屋根。
二階は上がすごく高い。天井はなく,すぐに屋根。明代の建物の特徴とのこと。
楼の中は観光客向けの売店。国立の店のため,質は良く安いらしい。何も買わなかっ
かったが…
目をつむると玄奘三蔵・ラクダの隊商が目に浮かぶ…残念ながら,ロマンティストに
はなりきれなくて,回りが暗くなっただけ…(^^;;
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西安市の「安定門−西の城門」を見学。城門の上から鐘楼の方向を見ると,以前来たとき
ゴチャゴチャしていた町並みが,スッキリ・綺麗になっていた。
観光都市として統一テーマで再開発しているようだ。土地はすべて国家のものだから,日
本の都市再開発よりはやりやすいんだろうなぁ。上の写真でもクレーンが確認できる。
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東西南北の門を繋ぐ城壁の上部は15m程度の幅がある。武器を積み込んだ馬車を走
らせるためには,これくらいの広さが必要なんだろう。
平和になった現在,春と秋に城壁一周マラソンが行われるという。
普段は市民の憩いの場となってている。不思議なのは,入場料。一般市民は無料?
他の施設でも感じたが…観光客からだけ入場料を徴収しているような…
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西安市の中心は鐘楼。鐘の形をしたゴミ箱がアチコチに置かれていた。他の観光地でも
いろいろな形のゴミ箱を見た。日本でもこのような遊び心がほしい。
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折から,国慶節。商店の店先には国旗が…日本では見られなくなった光景だ。
中国の正式名称は中華人民共和国。国旗は「五星紅旗」と呼ばれ,紅は革命。大きな星
は中国共産党。4つの小さな星は労働者・農民・知識階級・愛国的資本家を表す。
国歌は義勇軍進行曲。1978年に正式な国歌とされた。下は国歌の訳例
起ちあがれ! 奴隷となることを望まぬ人びとよ!
我らの血肉を以って新たな長城を築こう!
中華民族に最大の危機がせまり
一人ひとりが最後の咆哮をあげる時だ。
起て! 起て! 起ちあがれ! 我々すべてが心を一つにして
敵の砲火をついて進め! 敵の砲火をついて進め!
進め! 進め! 進め! 中国の国歌を聞きたい人はここをクリック!
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ホテルで荷物を降ろし,夕飯まで時間があったので鐘楼(中心地)まで散歩…
鐘楼を中心にロータリーが出来ていて東西南北に道路が延びている。
国慶節の休みでゴッタ返していた。右奥の建物は鼓楼。
中国の警察の車は何種類あるのだろう…
タクシーに乗れば夕飯の時刻には十分間に合うハズだったが…続きは番外編で!!
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