長編



長編って何?
 長編とは凡そ300ページを越えるくらいの長い作品で、通常1冊に1作品が収録されています。現在巷に溢れかえるミステリィの殆どは長編です。20世紀末期より多くの新本格作家が世に出ましたが、ほぼ皆、長編作品でデビューを果たしています。(多分)
 新本格に大きな影響を及ぼした島田荘司が云っているのです。「長編を書け」と。兎に角長編以外は売れないらしいんですね。だから名前の売れていないデビュー時、先ずは長編を、と云う事みたいです。

 売れない作品よりは売れる作品、作家に限らず出版社も当然考えることでしょうから長編ばかりになるのもやむを得ないことでしょうか。ま、本屋に行って、テキトーに一冊手に取ってみたら可成りの確率で長編ですよ…ってことです。

 さて、少しページ数に目を向けてみましょう。最近の作品は兎に角長い! 長編って一括りにしてみても、400ページを越える作品なんてざら。と云うか400ページだと短く感じるぐらいに長い作品が多くなっています。昔は大作って云ったもんですよ。それが今や500ページを越える作品だって少なくないんですから。
 何故なのでしょうか。その背景にはワープロの普及が大きく影響しています。少し使い慣れれば確実に万年筆で升目を一つ一つ埋めていくより遙かに早い。そして編集が容易なため、推敲もしやすい。出版社も色々な意味で楽。そんな訳で現代は大作多作傾向が浸透しきっている感じですね。不思議と(?)これが売れるんです。

 私の蔵書で見てみると、500ページを越える作品が170冊程度、全体の1割にも達しています。1000ページを越えてる作品だって数冊あります。殆ど同じ作家さんですけどね…誰とは云いませんけど、ねぇ。京極さん。(^^)

 ページ数は作家さんの収入にも直結する訳で、そこにちょっとした落とし穴があったりもするのです。「無駄にだらだらと長い」作品も増えてきている感はどうしても否めません。何にでも適切なトコがありますし、ちょっと今後が心配だったりもするのですが…。
 でも単純にページ数の多い作品が駄目とは云いきれないのもまた事実。製本技術の限界に常に挑戦しているあの御方の作品は、そう云う不評を殆ど聞いたことありませんしね。



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