愛川晶
<美少女代理探偵シリーズ> |
カレーライスは知っていた (光文社文庫) 巫女の館の密室 (光文社文庫) ダイニング・メッセージ (光文社文庫) |
<ノンシリーズ> |
化身 (幻冬舎文庫) |
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カレーライスは知っていた |
ストーリィ
美少女代理探偵、根津愛が登場するシリーズの短編集。代理探偵として事件に関わり始める愛。現役時代の父信三。愛が成長して鋭さを発揮する様になる過程が表現されています。
「カレーライスは知っていた」:カレーライスを一口食べた信三は犯人を指摘 「だって、冷え性なんだモン!」:左右ちぐはぐな死体が発見される 「スケートおじさん」:橋の上でスケートをしていたおじさんは何者か 「コロッケの密室」:ダイヤの指輪は一体何処へ 「死への密室」:目の前で壁を通り抜けるトリックは上手くいくのか 「納豆殺人事件」:納豆嫌いの死者の胃袋に納豆が ボーナストラック:募集された「スケートおじさん」の別解答 |
感想
父親の信三にスポットが当たった作品もあります。愛の推理は時として、「何じゃそりゃ」ってものもありましたが、一方で信三に別解答を持たせる辺りは面白いかも。収録作品はどれも純粋なこてこての本格です。本格好きなら読んで損はないでしょう。ボーナストラックの特別賞受賞作品はかなり面白く説得力もあります。
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化身 |
ストーリィ
第5回鮎川哲也賞を受賞作。両親に死に分かれた女子大生、人美操。彼女の元に送られた不思議な写真は、19年前の園児誘拐事件と繋がるものでした。サークルの先輩、坂崎に助けられ、己の存在を探す操。そして両親が数々の不審な行動をとっていたことが判明。本当に自分は両親の実子だったのか、それとも…。
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感想
流石は鮎川哲也賞。純粋な本格が楽しめます。別に山荘で孤立するわけではありません。そんな場所設定はなくとも、十分本格を感じられる作品です。プロローグが素晴らしく、作品の最後まできいています。いつ、どう転ぶのか分からずにドキドキ。トリックも「やるなっ」と云う感じはあります。が、たとえトリック無しでも十分面白い。完成度の高さもかなりのものがあります。坂崎先輩は作者自身を反映させてるのかな?(やたら料理に詳しいし)
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巫女の館の密室 |
ストーリィ
美少女代理探偵・根津愛が登場する長編作品。級友に誘われて別荘へ出掛ける愛たち。キリンさんこと桐野刑事も保護者として同行します。10年前に起きた完全なる密室殺人。成り行きでそれを解くことになった愛と桐野。悲劇は再び繰り返される。
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感想
伏線と設定に優れた作品です。特に本筋から少し離れた、その周囲を固める部分の設定がとても丁寧な印象を受けます。愛が登場するまでの数十頁は少々読むのが大変ですが、その後は一気にテンポも良くなります。プロローグもテンポの良さに一役買っています。密室の解説は図を挿入してあれば、より状況が分かりやすかったと思います。
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ダイニング・メッセージ |
ストーリィ
美少女代理探偵・根津愛が登場する連作短編作品。キリンさんこと桐野刑事にお見合いが?!
「Kaiseki Lunch」:愛の父・信三に呼ばれて家を訪れた桐野は新田靖香と再会する 「Packed Lunch」:靖香が強姦に遭った?! 相談を受けた桐野。 「French dish Dinner」:人間の女性を料理した状況が桐野のメールに届く 「Celebration Lunch」:揺れ動く靖香の心、動揺する桐野、根津一家の動向も… |
感想
年の離れた愛にぞっこんのキリンさん。浮いた話もなかった彼が、唐突に美女とのお見合いへ。そして雰囲気も決して悪くはない。あぁ、でも、愛ちゃんが…と悩むキリンさん。読み物として単純に楽しむことができます。しかし、このシリーズはやはり本格ミステリィ。しっかりとした「謎解き」が組み込まれています。軽い作品ですから、本格を気軽に読みたい時にもってこいです。
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