太宰治
<ノンシリーズ> |
斜陽 (新潮文庫) |
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斜陽 |
ストーリィ
ほんものの貴婦人である母。離婚して家に戻って来たかず子が過ごす母との日々。美しさと儚さとを同時に兼ね備えた母。戦後の苦しい時代を女二人がどこかのんびりと過ごしていきます。やがて戦争で行方不明だった弟の直治が戻ってきますが、以前と変わらぬ堕落した日々。貴族や爵位と云う旧時代的なものが消えゆく様を美しく描きます。
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感想
「お母さま」の魅力がしっかりと表現された作品です。そしてその魅力をこれ以上ないほど感じている娘のかず子。その美しさと生活が何時までも続かぬことが、最初から雰囲気として感じられます。だからこそ、いっそう美しさが際立って見えるのです。戦後の変遷に付いていくことは出来ぬ弱さと、それでも己の行き方を貫く強さがそこにあります。
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