五條瑛


<ノンシリーズ>
熱氷 (講談社文庫)

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熱氷
ストーリィ
家族と別れ、カナダで氷を撃つ日々を過ごす石澤。そんな日々に突然割り込んできたのは姉の訃報。帰国したのも束の間、姉の忘れ形見・光晴が誘拐される。誘拐犯は姉の夫だった男。どうやら誰かを狙撃させたいらしい。氷しか撃たないと云う信念と、最愛の姉が残した光晴の命。石澤は選択を迫られつつ、犯人の指示に従っていく。
感想
全体的なバランスが良い作品。しかし、それが逆に単調さを感じさせてしまった印象です。特に気に入らないところはないのですが、ここが良かったと思えるところもない。読み終わって「あ〜、面白かった」とは思ったのですが、何か物足りなさを感じたのです。例えば、グースと云う人物が登場します。かなり魅力的な存在と思えたのですが、もう少し主人公に絡めてみることはできなかったでしょうか。主人公の祖父も、最初だけで、途中からは忘れ去られた感じ。もう少し主人公が鬱陶しがるくらい、あれやこれや聞いてきたり、人間くささがあって良かったのでは、などなど。でも、そうするとハードボイルド的な雰囲気が損なわれてしまうから、単純にはいかないんですけれど…。
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