石田衣良


<ノンシリーズ>
4TEEN (新潮文庫)

§ 感想へ戻る §


4TEEN
ストーリィ
第127回直木賞を受賞した短編集。テツロー・ジュン・ナオト・ダイの14歳を描きます。

 「びっくりプレゼント」:病気のナオトのため、3人が考えたプレゼントとは
 「月の草」:不登校の少女の家に届け物をするテツロー
 「飛ぶ少年」:周囲から浮いた存在の放送委員
 「十四歳の情事」:不倫サイトで知り合った人妻の元へ通うジュン
 「大華火の夜に」:余命幾ばくもない脱走病人と出会った4人
 「ぼくたちがセックスについて話すこと」:オカマと噂の少年
 「空色の自転車」:ダイが父親を殺した?!
 「十五歳への旅」:新宿の公園でテントを張った2泊3日
感想
14歳、中学生の生と性と友を描いた作品です。主人公の4人は皆個性豊かで、とんでもない行動をとったりもするけれど、相手を思いやる気持ち、越えてはならないラインの意識など、或る意味とても大人です。「びっくりプレゼント」は普通に想像する14歳とはかけ離れた行動を取る3人にちょっとびっくりしましたが、人を思いやる優しさと無邪気さがとても温かい。「月の草」でもそれは同じ。踏み込み過ぎず、遠慮し過ぎもせず、バランスがとれた行動が好感を呼ぶのです。ただ本作は、個々の作品の繋がりが若干弱く、勿体ない印象を受けます。最初の2編がとても素晴らしいだけに、中盤の作品はインパクトに欠けます。連作性が強い短編集だと、もっと引き込んでくれたのではと思います。
お気に入りの一文
ぼくは四一プラスマイナス一六キロのルミナが好きなんだから
↑リストへ   感想へ戻る