石川信介
<推理作家吉本紀子シリーズ> |
不連続線 (光文社文庫) 美濃路殺人悲愁 (光文社文庫) |
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不連続線 |
ストーリィ
第2回鮎川哲也賞受賞作。夫に先立たれた吉本紀子。その一年後、さらに義母がカバン詰めにされて殺害、捜査は難航する。紀子は微かな手掛かりを元に、自ら真相を探り始めます。やがて愛知県警の上島警部とも連携をとり捜査を進めますが、容疑者には鉄壁のアリバイがありました。
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感想
本筋とはあまり関係ない部分、例えばちょっと訪れた町で起きたの些細な出来事。それもしっかりと、丁寧な描写なので非常に良い感じです。吉本紀子、上島警部の二人の視点が交互に入れ替わる構成です。しかしどうも紀子視点に比べると、上島視点はやや地味。紀子視点で最後まで進んだ方が良かったのでは、とも思います。ただ全体として非常に纏まった完成度の高い作品であることは間違いありません。あとは何らかの際立つ華があると良いですね。
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美濃路殺人悲愁 |
ストーリィ
推理作家吉本紀子と愛知県警の上島警部が登場します。3組の夫婦に届いた美濃路への誘い。主催者側がその費用を持つことに加え、謝礼金は50万円。どこか不安な気持ちを抱えつつ旅立ちますが、様々な指令や事件が彼らを待っています。やがて一同が集められ、真実が明かされます。
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感想
堅実な構成、それが石川真介と云う作家最大の魅力と思います。が、今回は復讐から呼び起こされた異常性がポイント。理知的な雰囲気でストーリィが始まり、やがて異常な復讐心。それが幾分ちぐはぐした印象です。受け入れがたい「異常性」と云ったら良いでしょうか。3組の夫婦それぞれに違う展開は十分に楽しめます。「冷静な犯人(?)像」がそこから推測されるのですが…。最初は「先生」がキーワードのミッシングリンクかと思いました。
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