石持浅海
<ノンシリーズ> |
アイルランドの薔薇 (光文社文庫) 月の扉 (光文社文庫) |
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アイルランドの薔薇 |
ストーリィ
北アイルランドのカトリック系武装勢力、NCFの副議長が殺害された。NCFのメンバは殺害現場の宿に居合わせた客の中に犯人がいると考え、フ彼らの行動を武力で制限しようとる。宿泊客の一人で日本人科学者のフジは、それに反発。対等な立場で犯人を捜すこととなる。
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感想
フーダニットの傑作です。犯人は誰か。それに加え、1人の殺し屋が宿泊客には含まれています。しかし誰なのかが分からない。その二つが巧く絡み合い、スリルを増しています。人物紹介欄にも、「身分はすべて自己申告」と明示されている様に、最初から「誰」と云う疑問点を強調しています。舞台はアイルランド。登場人物はフジ以外、カタカナの名前です。ですが、人物が混乱することはありません。だからこそ、フーダニットを楽しむことができるのでしょう。
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月の扉 |
ストーリィ
心にキズを持った子供たちを明るく立ち直らせるキャンプ。それは、ただただ師匠の持つカリスマ性のお陰だった。何の欲もない師匠。そしてハイジャック。ハイジャックは何故起きたのか。ハイジャック犯の目的は一体何なのか。やがて機内で一人の女性が死亡。何が起きているのか。
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感想
緊張感が持続する作品です。が、息苦しくなる緊張感とは少し違います。ハイジャックなのに、雰囲気が重くありません。ハイジャック犯には何らかの信念を感じます。悲劇的ではありません。多くの「何故」、そこそこの「緊張感」。バランスが良く、収束のさせ方にも不満は感じません。完成度の高い作品です。
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