伊沢元彦


<ノンシリーズ>
猿丸幻視行 (講談社文庫)

§ 感想へ戻る §


猿丸幻視行
ストーリィ
第26回江戸川乱歩賞受賞作。大学院生の香坂に声を掛けてきたのは、製薬会社の社員。請われるままに研究所へ赴くと、新薬のモニタになってもらいたいと打ち明けられます。過去へ旅立つ夢見の薬。香坂は、かねてより興味のあった折口信夫を、同化対象として夢を見ます。時は明治、信夫は猿丸大夫の謎に関わっていました。
感想
ストーリィ上重要なのは、明治時代の猿丸考。しかし、いきなり明治時代から始まらないのが一工夫。現代から始まる特異な設定、そして過去へ。それも夢見です。完全に二つの世界観は別個の物であり、雰囲気が異なるところが良。猿丸考は相当考えられたことが容易に伺えます。歴史好きならでは作品と云えるでしょう。シーンとしては少ない現代ですが、作品を綺麗に整えています。
↑リストへ   感想へ戻る