北村薫
<円紫師匠と私シリーズ> |
朝霧 (創元推理文庫) |
<私のベッキーシリーズ> |
街の灯 (講談社文庫) |
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朝霧 |
ストーリィ
円紫師匠と私シリーズの5作目。卒業論文を仕上げ、無事卒業した私。出版社に就職しても円紫師匠との関係は変わりません。
「山眠る」:卒業、私たちはそしてそれぞれの道へ進みます 「走り来るもの」:出版社に就職した私が社会人として歩み出します 「朝霧」:職場の先輩の結婚式に出席した私 |
感想
シリーズ5作目は時の流れが一気に早くなり、ついていくのが大変です。どうしても「私」は学生のイメェジが染みついているため、急に社会人となってしまい違和感が。そして社会人の一年はさらに早い! 日常のミステリィを代表するシリーズではありますが、今ひとつその世界に入り込めない感じです。シリーズが進むごとにその度合いが増してしまうのが残念。面白くないとは違いますが、どこか作品と自分自身に距離を感じ続ける不思議な状態です。
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街の灯 |
ストーリィ
わたしのベッキーシリーズの1作目。時は昭和7年。上流家庭の令嬢・英子は、新しくやってきた女性運転手・別宮みつ子を、親しみを込めベッキーと呼ぶ。
「虚栄の市」:新聞に載った事件と江戸川乱歩の名作、そしてベッキーさん 「銀座八丁」:英子の兄が友人からの暗号に頭を悩ませる 「街の灯」:映写会中に訪れた死の真相は?! |
感想
日常のミステリィの先駆者である著者が、その力を遺憾なく発揮できるシリーズです。時代は昭和初期。その雰囲気を、とてもとても上手く、そして大切に表現しています。ですから、この作品はミステリィでなくても良いのです。何にも事件が起きなくて、ただただ毎日を過ごすだけ。それだけでも十分に満足できる世界が広がっています。そこに登場するベッキーさん。ちょっと新しい種類の人です。色々秘密もありそうです。英子もかなり頭の切れる方で、二人の会話、やりとりは非常に興味深くてドキドキ。続編が楽しみです。
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