谺健二
<雪御所圭子シリーズ> |
恋霊館事件 (光文社文庫) |
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恋霊館事件 |
ストーリィ
私立探偵・有希真一と、占い師・雪御所圭子のシリーズ2作目。大震災の傷跡から、少しずつ立ち直りを見せる神戸で起きた事件を描く連作短編集です。
「五匹の猫」:震災後に発生した少女の死と公園で密室事件発生。 「仮設の街の幽霊」:歩いていた男性がいきなり頭部に衝撃を受け死亡する 「紙の家」:紙で造った家で発生した密室殺人事件 「四本脚の魔物」:教授殺害に関わる「呪いの椅子」の迷信 「ヒエロニムスの罠」:沿革害虫駆除機ヒエロニムスで人を殺したと主張する女性 「恋霊館事件 −神戸の壁−」:地震と消失した家と… 「仮設の街の犯罪」:絡み合う事件の紐をほどきます |
感想
大震災から立ち直りを見せつつある神戸。雪御所圭子は以前として生きることの意味を失ったままです。一方、有希は必至に「今」を生きようと頑張り、圭子を励まします。その甲斐あってか徐々に行動的になる圭子。しかしその過程が少々曖昧な感じです。「何が彼女を変えつつあるのか」が、もう少し明確だと受け入れやすいのではないかと思います。圭子の雰囲気が作品により違う感じもします。背景になるものが説明されていないとちょっと戸惑います。震災と云う忘れつつある物を残し、他人事と感じた人たちにも伝える作品としては充分に評価されるべきと思います。
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