森絵都
<ノンシリーズ> |
永遠の出口 (集英社文庫) DIVE!! (角川文庫) |
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永遠の出口 |
ストーリィ
永遠に〜できない。その一言が私にはとても重い。その言葉を聞かされるだけで、たとえそれが些細なことだとしても、恐怖が私を襲うのだ。そんな小学生だった私。ぐれていた中学生の私。恋をした高校生の私。そして今へと。
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感想
物語の出だしがとても上手です。タイトルにある永遠の出口。これはいったい何だろう? それを読者に示しつつ、物語の世界へと誘います。無理なく、自然に、でも強く。一人の人間が成長し、大人へと一歩ずつ、一歩ずつ、確実に階段を上る様を、繊細に書き上げたところは流石です。ただ、比較的世界や登場人物が普通でした。もっと変わった、でも魅力に溢れた人が出てきてくれるかなと思っていただけに、それだけが期待はずれでした。
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DIVE!! |
ストーリィ
飛び込み。競技人口も少ないそのスポーツに打ち込む少年たち。しかしお荷物でしかないそのクラブは、存続を何とオリンピック出場にかけることになってしまった。女コーチに乗せられて、流される様に練習に打ち込む知季は勉強にも恋にも目をくれず、飛び込みに打ち込んでいく。時には心が揺れながら。クラブ一の実力者・要一、野性の魅力を発揮する飛沫。誰か一人でも良い、オリンピックへ…。
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感想
スポーツ物はとても難しいと思います。何故ならパターンが決まっていて、変化や独創性の表現が困難だから。本作はそんな難しいジャンルに真っ向から挑んだ作品です。あの森絵都さんがこんな作品を書くとは、正直驚きでした。しかし、やっぱり、流石です。何故これほど読者を引きつけるのでしょう。理由は沢山あるけれど、飛び込みというあまり馴染みのないスポーツを選択したことが、一つの要員ではないでしょうか。飛び込みの魅力を、絵都さん自身がしっかりと感じて且つ消化しているからこそ、単なる表面的な取材では感じられない様な深い魅力を、読者に伝えてくれているのです。スポーツ物があまり好きではない人も、一読の価値ありです。
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