森博嗣




魔剣天翔
ストーリィ
Vシリーズの5作目。小鳥遊練無の少林寺拳法の先輩、関根杏奈。彼女は航空ショーのパイロット。ショーの最中、空中で発生した殺人事件が発生。それは完全なまでの密室殺人。エンジェル・マヌーヴァを探す者と、事件の捜査をする者。両者が入り交じった展開を集結させるのは勿論、紅子です。
感想
密室殺人の典型的な例の一つが飛行中に発生するもの。ここでは2人乗りの航空機が舞台となります。トリックや人間関係はかなり凝っている印象を受けますが、尻切れトンボになってしまったものも少々。話のに纏まりがあると、より良かったかと思います。レギュラー陣間の人間関係を最後までしっかり取り上げてくれると私好みだったかも。それでもこのシリーズ5作中では一番気に入りました。
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恋恋蓮歩の演習
ストーリィ
Vシリーズの6作目。大学院生の大笛梨枝は、建築家の羽村怜人と出会い、恋に落ちる。出会いを重ねた二人は、豪華客船ヒミコで旅をすることに。紫子は保呂草のお手伝い。こちらもお仕事の都合でヒミコへ乗船。見送りに行っただけの紅子と練無も乗り込み、舞台と役者が揃う。
感想
梨枝と怜人の出会いから始まる心のざわめきが、とてもしっかり描かれています。単純な恋愛話として、このまま続いて欲しいと思わせるくらい充実しています。それでもVシリーズの1作品。レギュラー陣の登場と共に恋愛話はさようなら。保呂草のお仕事が始まります。解決が近付くに連れ、どんどんイヤな展開…と思ったら、最後の最後で納得できる収束が待っていました。すっきり。(やっぱり?)
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六人の超音波科学者
ストーリィ
Vシリーズの7作目。超音波研究所に招待された紅子と練無の二人。保呂草と紫子さんは二人も紅子さんたちを送るため研究所へ行くが、事故が起きて帰れない。紅子の元夫の恋人・七夏刑事も事故が元で研究所へ。役者が揃えば勿論事件が発生。練無の身にも危険が迫る。
感想
天才。しかも理系の天才となれば、森氏の本領発揮です。森氏が作り出す世界には、理系の天才がよく似合います。S&Mシリーズの真賀方博士が典型ですが、現実にこの様な人が存在しうるのだろうかと云う人が平気で存在し、かつ、存在して不思議が無い雰囲気なのです。ただ、天才の割に考えることが若干庶民的…な気もしますけど。
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捩れ屋敷の利鈍
ストーリィ
Vシリーズ8作目。メビウスの輪の形をした巨大な建物、捩れ屋敷。部屋と部屋の間は一方通行。出口は一つ。そんな建物で発生した密室殺人。仕事のため屋敷に訪れていた保呂草潤平は、西之園萌絵と遭遇。二人は微妙な距離を保つ。
感想
S&MシリーズとVシリーズがリンクする、ファン待望の一冊! どちらのファンにとっても美味しい作品です。メビウスの輪が立体構造だったらどうなるか。そんな発想から生まれた不思議な建物で作られた密室殺人。保呂草と萌絵の微妙な言動。本格を楽しみたい人、シリーズ物を楽しみたい人、キャラクタに心酔している人、どんな人でもどんとこいっ!
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四季 春
ストーリィ
天才科学者・真賀田四季の幼児期がここに。幼き頃から天才だった四季と、それに翻弄される周囲の人々。S&M、V両シリーズの関係者も姿を現します。起。
感想
四季の怪しい魅力が最も強く表れている「春」。キャラクタの魅力への依存性が強い印象を受けます。ファンの方なら楽しめると思いますが、ファン以外の方がこの作品からはいるのは、あまりお勧めしません。S&Mシリーズ読後に読むのがベターでしょう。
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四季 夏
ストーリィ
少女にして、すでに博士号を取得した四季。両親との微妙な関係、叔父との危険な関係。やがて四季の父は孤島に研究所を建てる。物語の舞台がここにそろう。承。
感想
春と同様、キャラクタ物という雰囲気が強い作品ですが、それに加えて、S&Mシリーズのプロローグ的な要素も色濃く出ています。S&Mシリーズを楽しめた方なら読んでおいて損はないでしょう。
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四季 秋
ストーリィ
犀川先生と西之園萌絵の視点で進む、天才科学者・四季の姿。犀川と四季の心の会話が気になる萌絵。萌絵と一緒にいても四季のことを考えてしまう時がある犀川。保呂草潤平の姿も見え隠れします。転。
感想
S&Mシリーズの一冊と云っても過言でないほど、犀川先生と萌絵の二人が活躍します。S&Mシリーズの最後から随分時が流れていて、二人の関係もちょっと距離感が変わってきた様に思いますし、萌絵から若さが消えてきた印象を受けます。森氏は本当にいたずらっ子の様な心を持ったまま大人になった人だなぁ、と感じさせてくれた作品です。
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四季 冬
ストーリィ
時は流れ、世界の表側から姿を消した四季。世間は相変わらずその姿を追い求める。姿は見えずとも、その存在の大きさは消えることがありません。結。
感想
春から夏へと大きくなった四季の存在ですが、ここ冬まで到達すると、非常に薄い透明の雰囲気に。秋までの様な強いインパクトは完全に失われ、流れに逆らわず漂っている様な世界です。ちょっとぼんやりした印象ですね。
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