村上春樹
<ノンシリーズ> |
ノルウェイの森 (講談社文庫) |
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ノルウェイの森 |
ストーリィ
親友キズキと、その恋人直子。彼らと3人で過ごした時間。やがて訪れた2人の時間。それはキズキの自殺が原因でした。やがて大学生活を営む主人公と直子。しかし2人の間には、大きな距離が割り込みます。通い合う心、通わぬ心。距離と想いが微妙なバランスを保ち、やがて終わりが訪れます。
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感想
真実、正直、誠。真っ直ぐな世界が、ココにあります。とても純粋です。性の表現は相当露骨ですが、この世界を描くためには必要な程度と理解出来ます。私を惹きつけたのは、冒頭に出てきた一文。「何故なら直子は僕のことを愛してさえいなかったからだ」。この一文が、常に頭から離れません。直子との距離が縮まろうとも、広がろうとも。主人公が直子以外の女性と過ごしたり、男友達と過ごしていても、常に直子のことが気になるのです。直子が一番に思えるのです。勿論それは、この一文だけが生み出した物ではないでしょう。が、私にとっては、この一文があったからこそ、この世界に入ることができたのです。一つの文の重みを感じた一作でもあり、村上春樹と云う作家に興味を持った一作でもあります。
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