長井彬


<ノンシリーズ>
原子炉の蟹 (講談社文庫)

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原子炉の蟹
ストーリィ
第27回江戸川乱歩賞受賞作。原子力発電に関わる人物が失踪? 地方新聞に取り上げられなかった内容を、記事にするため中央新聞は調査を始めます。背後に潜む死亡事故。「大スクープ!」の筈でしたが、証拠の希薄さにより強烈なバッシングを受けることに。それでも事件は発電所を舞台として着々と進行して行くのでした。
感想
原子力発電所。その危険さを考えた社会性と、完全な密室空間である本格性を併せ持つ舞台です。放射能を浴び続ける作業者たちと、その恩恵で生活するその他大勢の人々。そのギャップが作品にも現れていた様に感じます。どちらかと云うと、社会派の作品になるでしょう。現実問題として、「原子力発電は安全です」と言い切る電力会社の人たちが危険の根底にあります。「危険」だから何をするのか、何をしているのか、と説明してくれた方がよっぽど安心できるのですが…。
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