永井するみ
<ノンシリーズ> |
ミレニアム (双葉文庫) 防風林 (講談社文庫) |
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ミレニアム |
ストーリィ
目前に迫った西暦2000年。コンピュータに頼りきった現代社会が迎えた21世紀の壁は、人が自ら作り出したものでした。各企業が徐々にこの問題を深刻に考え始めた20世紀末、馨はその対策にあたるエンジニア。過去も未来も時間と戦いながら、日々を過ごす馨たちでしたが、リーダの久武が突如何者かに殺害されてしまう。
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感想
良く分からず大騒ぎ状態だった2000年問題。結局、ほぼ「何にも起こらなかった」わけですが、それは本当に凄いこと。この作品ではその裏側で対峙した人々を、しっかりと描いています。作者は理系なのかな? 技術者の視線で見ても、特に違和感がありません。しっかりと調べた上で書かれた作品なのでしょう。果たして殺人事件は必要だったのか、とすら思ってしまいます。ミステリィにしない方が、すっきりと纏まったのではないでしょうか。
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防風林 |
ストーリィ
会社が潰れて職を失った周治は、故郷の札幌へ戻ることを決意する。末期ガンに冒された母のためにも。しかし妻は東京を離れることを渋り、周治は一人先に札幌へ行く。若き頃あこがれていたアオイとの再会。気になる母の過去。離れゆく妻との距離、子供との距離。周治がたどり着いた先で知った真実とは。
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感想
ガンに冒されたお母さんが、とにかく、かわいそう。とてもつらそうで、読んでいて苦しくなります。その筆力は流石ですし、特にどこかに問題がある作品ではありません。しかし、一体このストーリィのドコを好きになれば良いのでしょうか。永井氏はこのストーリィのドコを見て欲しかったのか。読者に何を伝えたかったのか。それが伝わってこなかったため、消化不良は否めません。
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