二階堂黎人


<蘭子シリーズ>
悪魔のラビリンス (講談社文庫)

<ノンシリーズ>
増加博士と目減卿 (講談社文庫)

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悪魔のラビリンス
ストーリィ
蘭子シリーズ第8弾。魔王ラビリンスを名乗る怪人と、蘭子との闘いが始まります。

 「寝台特急《あさかぜ》の神秘」:3重の密室から発見された意外な人物の屍体
 「ガラスの家の秘密」:調査を続ける蘭子に、ラビリンスより再び挑戦状が
 「解けゆく謎、深まる謎」:これまで、そして、これから…
感想
蘭子が帰ってきた! 率直な印象はそれです。趣はこれまでと大きく異なり、ラビリンスと云う特定の人物と、名探偵蘭子の闘いを描いた作品です。なんと云ってもプロローグ。余りにもおどろおどろしく、先ずは度肝を抜かれます。構成や雰囲気では、江戸川乱歩を強く意識している様に感じられましたし、引用もちらほらと。。ラビリンスと云う特異な人物が登場したことで、大きな変曲点を迎えました。非現実性がフィクションであることを強く感じさせる作品となりつつあります。
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増加博士と目減卿
ストーリィ
ディクスン・カーの生み出した名探偵、フェル博士を模倣した増加博士,ヘンリー・メルヴェール卿を模倣した目減卿。個性豊かな二人が推理を繰り広げるメタミステリィ。

 「Yの悲劇 −「Y」がふるえる−」:核シェルタの中で起きた悲劇
 「最高にして最良の密室」:自動車が生み出した密室
 「雷鳴の轟く塔の秘密」:ピラミッド建造に関する謎を今、解明
感想
メタミステリィです。ちょっと珍しい。登場人物が舞台劇を繰り広げる様な作品です。たまに読むと目新しくて良いのですが、私の好みとは少々距離があります。この手の作品は、何でもありになってしまうのです。人が殺されても痛くもかゆくもありません。感情が平坦になります。作品に世界がありません。だからこそ実現できることも、勿論あります。それを上手く利用した作品だから意味があり、面白いのも事実です。作品の出来自体は決して悪くありません。ただ、私の好みとは少々距離があるのです。
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