小野不由美


<ノンシリーズ>
黒祠の島 (祥伝社文庫)

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黒祠の島
ストーリィ
調査業務を職とする式部。彼の前から姿を消した知人の葛木志保を探すため、調査を開始します。出掛ける前、式部に鍵を渡していった葛城。己の行き先に危険が待ちかまえている事を予期していたに違いありません。式部が辿り着いたのは夜叉島。通称黒祠の島。閉鎖的な島民に葛城の消息を訪ね歩きますが、なかなか芳しい結果を得ることができません。島民たちは何を隠しているのか。やがて驚愕の事実を目の当たりにすることに…。
感想
多くの謎が、しっかりとした設定で裏付けられた良作です。閉鎖的な島。常識の通用しない特別な空間です。人を探すため、そんな異世界へ乗り込み葛城志保を捜す式部の行動は、見ているだけでとても不安にかられます。早く島から出てほしい。それだけ作品の世界に、強く強く引き込まれている証拠です。前半はその不思議な世界が、時の流れを早くします。中番に入ると作品が落ち着きを見せ始め、さらに読者もその世界に慣れてくる。よって若干のペースダウンを感じてしまいます。唯一それだけが勿体ない。終盤は再びペースアップして、最後まで一直線です。
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