乙川優三郎
<ノンシリーズ> |
生きる (文春文庫) |
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生きる |
ストーリィ
第128回直木賞を受賞した表題作を含む短編集です。
「生きる」:藩主が死に、追腹を切らなかった又右衛門は死よりもつらい生を全うする 「安穏河原」:娼妓の娘を抱き、その父親とは酒を飲む男が巡り会った清き言葉 「早梅記」:妻に先立たれた老武士は、若かりし頃屋敷にいた奉公人の娘を思い出す |
感想
これが乙川優三郎の世界なのか! そう口に出さずにはいられない作品です。直木賞受賞作の「生きる」は、もう題名が全てです。忠のため、死よりもつらい生を選んだ一人の男の、つらいつらい日々が描かれます。終始変化に富み、緊張感が持続して、何も余計なことを考えられないままラストを迎えます。ただただ、感動。「安穏河原」は、もう「お腹いっぱい」の一言で、こちらの心がいっぱいになってしまいます。「早梅記」は身分の違う二人の恋を描いた綺麗な作品でした。
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