乙一


<ノンシリーズ>
ZOO (集英社文庫)

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ZOO
ストーリィ
ジャンル分けの不能の傑作短編集。

 「カザリとヨーコ」:双子の姉妹なのに、一方は可愛がられ、一方は疎まれる
 「SEEVEN ROOMS」:閉じこめられた兄妹は徐々に状況を理解していく
 「SO-far そ・ふぁー」:片親が死んでしまったのに、僕には両方の親が見える
 「陽だまりの詩」:死の瞬間を看取らせるために作られたロボット
 「ZOO」:彼女が殺された。俺は犯人を捜し出す。犯人は…俺。
 「血液を探せ!」:痛覚を失った資産家が刺され、輸血するための血が消えた
 「冷たい森の白い家」:馬小屋で暮らし成長していく
 「Closet」:結婚相手の家族と緊張の瞬間が続く
 「神の言葉」:僕の声は不思議な力を持っていて、頭の中に響くと気付いた
 「落ちる飛行機の中で」:ハイジャックされた飛行機の中、安楽死の薬を売る
 「むかし夕日の行園で」:小学生の頃、公園の砂場に…
感想
ジャンル分け不能、とうたわれてはいますが、基本的にホラーだと思います。どれも凄いインパクト。「カザリとヨーコ」はとても単純な展開なのに、読者を強くその世界へと引き込みます。「SEVEN ROOMS」は、とにかく絶体絶命。一体どうやって収束させるのか、収束させれるのだろうか。そう感じさせる程追いつめられます。凄い! 「陽だまりの詩」は「なるほど〜」と唸りましょう。「ZOO」は受け入れがたい設定なのに、妙に受け入れやすい作品。「血液を探せ!」は刺されて死にそうな状態なのに、全体的に明るい本格ミステリィ。「冷たい森の白い家」はヨーロッパの古い童話を読んでいる様な印象。「Closet」はシンプルだけど、ちょっとクセのある日本のミステリィという感じ。「神の言葉」は、少し淋しい感じがします。「落ちる飛行機の中で」の状況を理解しない展開は、或る意味非常に楽しい。「むかしの夕日の公園で」は最後にあることで意味をなす作品です。
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