佐藤多佳子
<ノンシリーズ> |
しゃべれども しゃべれども (新潮文庫) |
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しゃべれども しゃべれども |
ストーリィ
二ツ目の落語家、今昔亭三つ葉。ちょっと短気なところはあるものの、感じの良い好青年です。吃らず話ができる様になりたい従弟の良に頼まれ、断り切れず落語を教えることに。すると、不愛想な美人の十河、大阪弁が染みついた小生意気な小学生の村林、元プロ野球選手の湯河原と、次々に生徒が増えていきます。お人好しな三つ葉は彼らに世話を焼き、手を焼き…。そんな中で自分自身をも見つめ直すことになるのでした。
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感想
表現やシーンに無駄が無く、とてもテンポの良い作品。巧過ぎます。思わず笑ってしまったり、思わず微笑んでしまったり、思わずキュンとしてしまったり。メリハリもあり、表現も素敵です。特に、一行あけてある前の一文が素晴らしく、読んでいて何度も感心してしまいました。その一文で、ちょっとだけテンポや雰囲気が変わります。だから飽きが来ない。登場人物はとても真っ直ぐで、とても純粋。それに加え、個性がしっかりしています。唯一、たった一つだけ気になったのが、ある人物の取り上げ方。もう一つくらいイヴェントが必要だったのではないかと感じます。重要な人物だけに勿体ないし、何より可哀想。それ以外は満足で満たされました。最後に、とっても気に入った表現を一つだけ。「美人ではないが美人以上に美しい」。
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