島本理生
<ノンシリーズ> |
シルエット (講談社文庫) リトル・バイ・リトル (講談社文庫) |
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シルエット |
ストーリィ
弱冠17歳で、第44回群像新人文学優秀作を受賞した表題作を含む短編集です。
「シルエット」:女性の身体に触れることが出来なかった元恋人の冠くんの想い出 「植物たちの呼吸」:植物の空間と、元恋人の記憶 「ヨル」:淋しい時、足下に居た一匹の猫と神谷くん |
感想
若い。とにかく若い世界観です。良いとか悪いとか、そういう問題ではなく、若い作家さんが作り出す世界の雰囲気でいっぱいです。この辺りがとか、具体的なことは良く分かりません。が、ひしひしと感じます。一歩離れて物事を見ている無気力感、と云ったところでしょうか。表題作の「シルエット」は、なるほど、流石に読者を惹きつけるものがあります。登場人物の形作りと行動がポイントです。
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リトル・バイ・リトル |
ストーリィ
第25回野間文芸新人賞受賞作。「家族」をテーマとした作品です。「ふみ」は母と異父妹の3人で暮らすちょっと複雑な家族。高校を卒業したものの、家族が食べていくため、アルバイトに精を出す日々。妹の面倒を見たり、母親に紹介された男の子と仲良くなったり、普通に真っ直ぐに生きていきます。
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感想
主人公の「ふみ」はとっても良い娘。大学へ行くこともできないのに、全然ひねくれたところがありません。自分の置かれた境遇を恨むこともなく、毎日を無理することなく過ごしている。それは家族を普通に愛しているからだと思います。そう、普通なのです。ふみは普通に今を受け入れて、普通に毎日を過ごしている。もちろん無関心とか無気力とは違います。その上で「普通」を「青春」とが、どちらも表現されています。良い人が多くて、心が癒される一冊です。表紙も魅力的で良い感じです。
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