篠田真由美


<建築探偵ズシリーズ>
美貌の帳 (講談社文庫)
仮面の島 (講談社文庫)

<ノンシリーズ>
龍の黙示録 (祥伝社文庫)

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美貌の帳
ストーリィ
建築探偵・桜井京介シリーズの第6弾。高校へ通い出した蒼を連れ、京介は伊豆へ旅立つことになります。そこで催された一つの演出。往年の名女優が復活を遂げるイヴェントですが、女優と演出家の衝突、演出家の失踪、館への放火。次々と事件が発生します。
感想
蒼の存在が今回も大きい。腰の重い京介が動いた理由は、蒼を救うため。積極的とも云えるその行動は、少々驚きでした。そして蒼も、自分自身で前に進もうと頑張っています。現実の時間と同じように流れる作品の時間。登場人物の成長を感じます。シリーズ物としては一応及第点に達しているでしょうが、良くも悪くも作品が落ち着いてきた印象です。
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仮面の島
ストーリィ
建築探偵・桜井京介シリーズの第8弾。イタリアへ向かった神代教授と桜井京介。それを追った深春と蒼。二十歳を迎えた蒼、その人生を気に掛ける周囲。あっさり合流した4人だが、島の売却を巡るトラブルに巻き込まれ、それは殺人事件へと姿を変えた。
感想
この作品に限った話ではないかも知れませんが、綺麗な作品ですね。「ハッピーエンド!」とか結末的な話ではなくて、ストーリィの収束感や、読了感が「綺麗」と感じさせてくれます。蒼の存在が日に日に大きくなるこのシリーズ、二十歳を迎えた蒼がどの様な人生を選択するのかがメインのテーマになっています。シリーズを追いかけて、蒼の成長を見てきた読者には、自然と自分自身の将来を考える様な気持ちになることでしょう。
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龍の黙示録
ストーリィ
柚ノ木透子の父親は、多額の借金を残して失踪した。その保証人は友人の高階。ろくに子供の面倒も見なかった父親に変わり透子を育ててくれたのは、他でもない高階一家であった。償いをするためにも、お金が必要な透子。彼女が紹介された仕事は、龍緋比古なる人物の秘書であった。
感想
非現実的なストーリィです。が、それを最初から読者に、適度に知らせてくれるのです。それが最初だから、世界に入る前だから、ちゃんと心構えを持って挑むことが出来ます。一番読み手を引き込むのは、透子の高階翠に対する想いと負い目。透子の行動規範は、全て其処にあります。それはとても受け入れやすく、とても感情移入できるものでした。
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